SpaceXは2026年の世界の軌道投入質量で約8割を占め、他の打ち上げ事業者との差を広げている。追跡データによると、10月18日時点で同社が軌道へ投入したペイロードは約1,950トン。打ち上げ回数だけでなく、大型ロケットの輸送能力や再使用による高頻度運用が、シェアを押し上げている。
世界では236回の打ち上げで2,396トン
ooinsightsの追跡データでは、2026年に入ってから成功した打ち上げは世界で236回に上り、軌道投入質量は合計2,396トンだった。2025年の同時期と比べると、全体では約4.7%減少している。打ち上げ活動がやや縮小するなか、SpaceXは全体の約8割を担った。
軌道投入質量で下位に位置する7社の合計は、SpaceXの4分の1に届かない。打ち上げ回数は運用頻度を示す一方、投入質量はロケットの実際の輸送能力や、大型衛星・衛星コンステレーションの展開規模を測る指標となる。
Starshipの3回の飛行が差を拡大
SpaceXと他社の質量差を広げた要因の一つがStarshipだ。追跡データによると、2026年に同機は3回飛行し、1回あたり約120トン、合計約360トンのペイロードを運んだ。この分だけでも、世界全体に占めるSpaceXの軌道投入質量の割合を大きく押し上げる規模となる。
先に、あるTesla投資家が2026年の打ち上げ回数をまとめたデータを共有し、打ち上げ活動の規模でSpaceXに追いつけるのは、中国の国有企業である中国航天科技集団(CASC)だけだとの見方を示していた。比較の基準を打ち上げ回数から軌道投入質量に変えると、SpaceXの優位はさらに際立つ。
マスク氏、SpaceXを「マトリックスの異常値」と表現
イーロン・マスク氏は、関連する図表への反応として、X上でSpaceXを「マトリックスの異常値」と呼んだ。映画『マトリックス』に由来する表現で、通常の説明では捉えにくい例外的な存在を指す。背景には、打ち上げ頻度に加え、大型ロケットや大規模な衛星展開ミッションによって、1回あたりの輸送量を高めてきたことがある。
この実績は、マスク氏がTeslaの他事業について示してきた見通しとも対照的だ。同氏は、人型ロボット「Optimus」と自動運転タクシー「Cybercab」がTeslaの将来価値の大部分を生み出すとの考えを述べている。現時点で数値化できる宇宙事業の優位性は、打ち上げ回数、1回あたりの輸送能力、Starshipのミッションに支えられている。各社の実際の輸送規模を比べるうえでは、軌道投入質量が引き続き重要な指標となる。