HORAN Wealthは2026年秋季の投資家向けレターで、7~9月期の米国株は引き続き一部の大型テクノロジー株に支えられたと指摘した。経済と企業業績には底堅さが見られる一方、9月には等ウェート指数が大きく下落。FRBの利上げ、国債利回りの上昇、目標を上回るインフレが、株式・債券市場の重要な変数となっている。
7~9月期、4銘柄がS&P500の上昇幅を上回る寄与
HORAN Wealthが引用したCitadel Securitiesの集計によると、Microsoft、NVIDIA、Apple、Meta Platformsの4社は7~9月期にS&P500種株価指数を合計約300ポイント押し上げた。これは同期間の指数全体の上昇幅の2倍を超える。一方、残る構成銘柄は合計で約150ポイントの押し下げ要因となった。
S&P500の7~9月期のトータルリターンは2.30%。テクノロジーセクターが2.72ポイントを寄与したのに対し、成績の振るわなかった7セクターは合計で1.86ポイント押し下げた。
指数の構成にも集中度の高さが表れている。S&P500に1ドル投資した場合、約41セントが上位10社、35セントが「マグニフィセント・セブン」、19セントが半導体セクターに配分される。NVIDIAだけで約8セントを占め、その比率は指数の下位256銘柄の合計を上回る。
市場の広がりは9月に変化した。それ以前にはS&P500の等ウェート指数が時価総額加重指数を上回る場面もあったが、9月は時価総額加重指数が0.35%下落したのに対し、等ウェート指数は4.81%下落し、年初来でも出遅れた。S&P500が高値から2%未満の水準にある一方、構成銘柄の22%は個別の高値から20%超下落し、65%は10%超下落している。大型テック株が指数を支える陰で、銘柄ごとの下落が広がっており、市場調整は指数全体の急落というより、時間をかけた銘柄間のばらつきとして表れている。
中間選挙年と大統領任期の株式市場
HORAN Wealthは、大統領選後の政策をめぐる不透明感は市場に徐々に織り込まれ、企業も選挙結果に応じて経営を調整していくと説明した。過去には中間選挙で大統領の所属政党が下院議席を失うことが多い。1946年以降、議席を増やしたのは1998年と2002年のみで、平均では22議席を失っている。
大統領任期4年のサイクルをみると、2年目の10~12月期と、3年目の1~3月期、4~6月期が、歴史的に比較的高いリターンを記録してきた。ただし、これは過去の傾向を示すもので、各サイクルで同じ展開になるとは限らない。
利益成長は堅調、製造業・サービス業も拡大
エネルギー価格の高止まりや中東情勢の緊張、FRBの利上げが投資家心理に影響するなかでも、米国経済は7~9月期に底堅さを保ち、企業業績も市場予想を上回った。LSEG I/B/E/Sによると、S&P500構成企業の4~6月期の最終的な利益は前年同期比53.7%増。始まったばかりの7~9月期決算では、前年同期比30.6%増が見込まれている。
米国の4~6月期実質GDPは年率換算で2.2%増加した。個人消費支出は3.8%増、企業投資は年率換算で9%増となった。企業投資の増加には、AIデータセンター関連プロジェクトなどが結び付いている。アトランタ連銀のGDPNowモデルは、7~9月期の成長率を3.7%と推計している。
製造業では、米供給管理協会(ISM)の製造業購買担当者景気指数(PMI)が9月に54.5となり、8月の54.6からわずかに低下したものの、9カ月連続で拡大圏を維持した。2025年の大半にわたって縮小していた状況から改善している。サービス業PMIは7月の54.1から8月に55.4へ上昇し、6カ月ぶりの大きな伸びとなった。PMIは通常、50を上回ると業況の拡大を示す。一方、企業からは燃料費の上昇を背景に、価格圧力が4年ぶりの高水準に達したとの報告もあった。
FRBが利上げ、10年債利回りは20年超ぶりの高水準
ケビン・ウォーシュ新議長の就任後、FRBは9月の会合で政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント引き上げ、3.75~4.00%とした。利上げは2023年以来初めて。ウォーシュ議長は今回の措置について、金融引き締めではなく、金融政策による緩和の度合いを小さくするものと説明した。FRB当局者の金利見通しの中央値は、政策金利が2026年と2027年におおむね4.1%で推移することを示している。
市場金利は年初来、さらに速いペースで上昇した。米10年国債利回りは2月の3.97%から9月には5.28%へ上がり、20年超ぶりの高水準となった。債券価格は通常、利回りと逆方向に動くため、金利上昇は債券リターンを押し下げる。9月末時点で、ブルームバーグ米国総合債券指数は年初来3.3%下落。9月単月では2.6%下げ、過去30年間で6番目に悪い9月の成績となった。金利が上昇した2022年には、米10年国債のトータルリターンはマイナス16.9%だった。
インフレ率はなお、FRBの2%目標を上回る。最新の消費者物価指数(CPI)は3.35%、食品とエネルギーを除くコアCPIは2.45%。個人消費支出(PCE)物価指数は3.45%だった。一方、PCEの402分類のうち、前年比の上昇率が2%を超えたのは12項目にとどまった。エネルギー価格は前年比16.8%上昇し、最も大きな伸びとなった。
AIデータセンター投資と新興国市場
HORAN Wealthは以前から、テクノロジー企業の設備投資やデータセンター建設の拡大に注目してきた。レターでは、一部のデータセンター建設計画が地域住民の反対に直面しているとしつつ、こうした問題は解決可能との見方を示した。同社は、AIの発展を支える要因の一つとして、現在のインフラ整備を挙げている。
海外市場では、新興国市場が米国および先進国市場を上回った。市場の成長は、ここでもテクノロジー企業に大きくけん引されたという。HORAN Wealthは具体的な指数リターンを示していないが、新興国を海外市場のなかで相対的に好調な地域として位置付けた。
2026年の利益見通しと金利動向が焦点
LSEG I/B/E/Sは、S&P500構成企業の2026年通期利益が35.8%増加すると予想している。レター執筆時点のS&P500の年初来トータルリターンは12.8%だった。HORAN Wealthは利益成長が今後12~18カ月の株価を支える要因になる一方、成長率の鈍化は重荷となり得るとみている。
インフレがさらに低下すれば金利は下がるか、安定する可能性がある。高インフレが続けば、金利と債券市場の動向は引き続き投資家の注目点となる。