Netflixで映画事業を率いてきたダン・リン氏が退任した。同社が約1,000人の人員削減を発表した直後の幹部交代で、コンテンツ事業の組織とコスト構造の見直しが続いている。株価が過去1年で40%超下落するなか、10月20日に予定する第3四半期決算では、映画戦略と収益性の両立が焦点となりそうだ。
Netflixはリン氏の退任を認め、新たな映画部門責任者が決まるまで、チーフ・コンテンツ・オフィサーのピーター・ライス氏が同部門を暫定的に統括すると説明した。ライス氏はディズニーやフォックスで要職を務めたハリウッドのベテラン幹部。前任のチーフ・コンテンツ・オフィサー、ベラ・バジャリア氏もすでに退任しており、同職はライス氏が引き継いでいる。
ダン・リン氏、映画制作のコスト管理を推進
リン氏は2024年にNetflixへ加わり、映画部門の責任者に就任した。映画制作のコスト規律を強めると同時に、作品のジャンルやラインアップの幅を広げる役割を担った。前任のスコット・ステューバー氏が高額予算の映画に積極投資した後の起用だった。
リン氏の在任中には、出演者への高額な前払い報酬を抑え、部門の人員を減らしたほか、映画チームの再編にも取り組んだ。同氏が担当した作品には、アカデミー賞を受賞した『KPop Demon Hunters』や続編『Happy Gilmore 2』、『Frankenstein』などが含まれる。
今回の退任は、Netflixが近年で最大規模となる人員削減を発表した後に起きた。同社は先週、世界の従業員の約6%に当たる約1,000人を削減。2022年以来で最大の削減となった。2022年には10年以上ぶりに加入者数が減少し、成長モデルやコンテンツ投資の効率性を見直す契機となっていた。
利用者の視聴拡大が鈍化、株価は1年で40%超下落
Netflixは事業面でも複数の課題に直面している。プラットフォーム上での利用者の視聴・参加の伸びは鈍化し、株価は過去1年間で40%超下落した。YouTubeなどが展開する無料の広告付き動画サービスが存在感を高める一方、短尺動画やソーシャル動画も視聴時間を競っている。
コンテンツの拡充に向け、Netflixはここ数カ月、ポッドキャストやクリエイターへの関心を強めている。従来の映画・テレビ制作にとどまらず、動画ポッドキャストなど新たな形式を模索し、番組供給の幅を広げようとしてきた。
同社は10月20日の米国市場取引終了後に第3四半期決算を発表する予定だ。市場では加入者の伸びや利用者の視聴動向に加え、広告事業とコンテンツ費用の管理が注目される。映画部門トップの退任と大規模な人員削減を受け、経営陣がコンテンツ戦略と事業効率のバランスをどう説明するかも、決算説明の焦点となる。