Strategyは10月19日、自由に使えるドル現金の残高が4億4,730万ドルになったと明らかにしました。同社は前週に約2,210万ドル相当のビットコインを購入する一方、STRC優先株を約194万株買い戻し、買い戻し枠を20億ドルから30億ドルに引き上げました。
ビットコイン保有を拡大しながら、STRCの市場価格を支えるために現金を投じる動きが続いています。ただし、自由に使える現金は8月30日の16億1,000万ドルから約72%減少しました。買い戻しのペースや今後の資金調達余力が、投資家の注目点となっています。
ビットコイン保有は84万8,517枚に
Michael Saylor氏が執行会長を務めるStrategyは、前週に平均1枚82,900ドルでビットコインを購入しました。購入額は約2,210万ドルで、開示時点の保有数は84万8,517枚、累計取得額は約640億2,000万ドルです。
購入資金のうち約2,200万ドルは普通株14万872株の売却で賄い、現金からの支出は10万ドルにとどまりました。今週、自由に使える現金が約1億9,320万ドル減った主な要因は、ビットコイン購入ではなくSTRCの買い戻しです。
同社は、優先株の配当と債務利息の支払いに充てる別枠のドル準備金も保有しています。残高は約48億3,000万ドルで、期間中に優先株配当の支払いに4,550万ドルを取り崩しました。この準備金は用途が限定されており、STRCの買い戻しやビットコイン購入に自由に回せる現金とは異なります。
STRCを額面近くで買い戻し、枠を50%拡大
10月18日までの1週間に、StrategyはSTRCの買い戻しに1億9,310万ドルを投じました。平均価格は1株99.60ドルで、額面の100ドルに対する割引率は約0.4%でした。
取締役会はデジタル信用証券の買い戻し枠を50%引き上げ、20億ドルから30億ドルに拡大しました。7月に買い戻しを始めて以降の累計支出は約18億4,000万ドルで、残る枠は約11億6,000万ドルです。
買い戻し額は直近1カ月で増えています。10月18日までの4週間で約7億1,350万ドルを投じ、このうち9月28日からの3週間だけで約5億6,180万ドルを支出しました。この期間、STRCは大半の時間で99~100ドルの範囲で取引されていました。
このペースは、同社が当初示していた買い戻し方針とは異なります。CEOのPhong Le氏は7月、優先株が大幅な割引で取引される局面では購入を増やし、STRCが目標価格帯に戻れば支出を段階的に減らす考えを示していました。初期の買い戻し価格は平均86.53ドルで、割引率は約13.5%でした。最近の買い戻し価格は100ドルに近く、価格面での割安感は大きく縮小しています。
市場関係者のMark Harvey氏は、StrategyがSTRCの流通株の約5分の1を買い戻したものの、価格が100ドルを安定して回復できていない点を指摘しました。大規模な資金を投じても、STRCへの市場需要が想定を下回っているのかが焦点です。
直近1週間と同じ1億9,310万ドルのペースが続けば、現在の自由に使える現金4億4,730万ドルは約2.3週間で尽きる計算です。買い戻しを続けるには、現金の補充や株式売却、証券発行など別の資金調達が必要になります。
MSCIのルール変更、普通株による調達に影響も
Strategyは普通株の下落と、指数採用資格を巡る変更にも直面しています。MSTR株は10月16日までの5営業日で11.35%下落し、154.34ドルから136.83ドルとなりました。
MSCIは10月15日、新たなルールに基づき、非事業会社に分類される企業をグローバル投資可能市場指数の採用対象から外すと発表しました。Strategyと日本のMetaplanetが影響を受ける可能性があります。最終的な対象企業のリストは11月11日に公表され、新ルールは11月30日の取引終了後に適用される予定です。
変更が実施されれば、普通株を通じた資金調達でビットコイン保有を拡大してきたStrategyの戦略に影響する可能性があります。JPMorganは、同社が関連するMSCI指数から除外された場合、パッシブ運用ファンドによる売却圧力が約28億ドルに達する可能性があると試算しました。実際の影響は、最終リストやファンドの保有状況、指数変更後の資金フローに左右されます。
VanEckのMatthew Sigel氏によると、STRCは前週月曜日に一時99.90ドルまで上昇した後、MSCIのルール発表を受けて97.72ドルに下落しました。同氏は、優先株指数におけるMSCI関連の保有は限られると指摘し、STRCが再び額面近辺に戻れるかどうかが、Strategyによる大規模なビットコイン購入のための株式発行再開を見極める材料になるとの見方を示しました。
一方、CryptoQuantが追跡するアナリストの見方は、総じて強気です。CryptoQuantのKi Young Ju CEOは、Citi、Barclays、B. RileyがStrategyの目標株価をそれぞれ240ドル、175ドル、195ドルとしていると述べました。また、MSCIに関連する売り圧力の一部は、すでにMSTRの評価に織り込まれているとの見方を示しました。
Ju氏は、Strategyの時価総額と純資産価値の比率が1に近いこと、STRCの額面からの乖離、優先株配当を支える流動性準備金も、指数変更のニュースだけでなく資金状況を判断する材料になると指摘しました。今後のビットコイン購入余力は、現金残高や優先株の買い戻しペース、資金調達条件に左右されます。
Strategyは10月29日に2026年第3四半期決算を発表する予定です。MSCIは11月11日に最終的な指数除外リストを公表し、新ルールは11月30日の取引終了後に発効します。