米国株式市場では火曜日、主要3指数がそろって下落した。原油価格は下落したものの、エネルギーコストやインフレ、景気成長、政府債務への懸念を背景に長期国債利回りは上昇。消費者信頼感も3カ月連続で低下し、株式市場では金利上昇が大きな焦点になっている。歴史的に相場が堅調になりやすい第4四半期に入るなか、投資家は金融環境の引き締まりが株価を抑える可能性を見極めている。
終値は、ナスダック総合指数が0.09%安の26,797ポイント、S&P500種株価指数が0.8%安の7,683ポイント、ダウ工業株30種平均が0.7%安の51,481ドルだった。
30年国債利回り、2002年以来の水準に上昇
原油先物は下落した。期近のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は3.7%安の1バレル=89.21ドル、国際指標の北海ブレントは1.9%安の95.95ドルで取引を終えた。
一方、債券市場では長期金利の上昇が続いた。30年物米国債利回りは2.5ベーシスポイント(bp)上昇して5.587%となり、6営業日連続で上昇。取引中には5.61%を上回り、2002年以来の高水準を付けた。2年債と10年債の利回りも一時52週高値を更新した後、2年債は3.5bp低下して4.889%、10年債は0.9bp上昇して5.251%となった。
家計心理の弱さも示された。コンファレンス・ボードが発表した9月の消費者信頼感指数は81.9となり、2014年4月以来の低水準に落ち込んだ。市場予想の89.0を下回り、8月の数値も88.6へ下方修正された。
バークレイズのエコノミスト、プージャ・スリラム氏は、根強いインフレ、高止まりするガソリン価格、雇用機会の不足が消費者心理を同時に圧迫した可能性があると指摘している。
株高の季節性と金利上昇が交錯
Navellier & Associatesのルイス・ナベリエ氏は、第4四半期は株式市場が季節的に好調になりやすく、大統領任期4年のうち3年目は過去の傾向から最も良好なパフォーマンスになりやすいと述べた。ただし、投資家は金利上昇と米連邦準備制度理事会(FRB)の政策が株価の上昇力を弱めるかどうかを見極めているという。
ナベリエ氏は、成長株が過去12年連続でバリュー株を上回ってきたことにも言及し、金利上昇がすべての銘柄に同じ影響を与えるわけではないとの見方を示した。また、日本、英国、フランスなど金利が上昇している国と比べ、米国の国内総生産(GDP)は相対的に底堅いと指摘した。
同氏は、世界の政府債務が365兆ドルに達しているとも述べ、一部の国では政府債務への対応として通貨発行を増やす必要に迫られる可能性があると警告した。
FICO株が26.6%急落、住宅ローン向け競争に警戒
信用スコア大手のFair Isaac(FICO)は火曜日に26.6%急落し、S&P500構成銘柄で最も下落率が大きかった。前日の取引終了時点で、同社株は2025年末から時価総額の半分以上を失っていた。ここ数カ月、投資家はFICOのソフトウエア事業の持続性に疑問を投げかけており、連邦政府レベルで進む住宅ローン向け信用スコアの価格体系見直しが競争圧力をさらに強めている。
米連邦住宅金融庁(FHFA)のビル・プルート長官は、政府支援を受ける住宅ローン市場の価格設定を変更する方針を明らかにした。プルート氏は、Fannie Mae(ファニーメイ)とFreddie Mac(フレディマック)が従来の2種類の価格表を1つに統合し、現在のFICO Classicを中心とした価格体系にVantageScoreを組み入れると説明した。
プルート氏は今月初め、FICOが2020年以降に個人向け信用スコアの価格を1,800%引き上げたと主張し、同社の独占的な立場は終わるとの見方も示していた。
この計画が実施されれば、住宅ローンの審査・価格設定における信用スコアの競争構造が変わる可能性がある。加えて、人工知能(AI)の普及はFICOのソフトウエア事業にも競争圧力を及ぼしている。住宅ローン分野の価格競争とAIによる事業環境の変化が重なり、市場では同社の収益基盤と企業価値の再評価が進んでいる。
Anthropic、AIインフラに5,180億ドルを計画
AI企業Anthropicの新規株式公開(IPO)関連書類では、同社が今後数年間でAIインフラ構築に5,180億ドルを投じる計画が明らかになった。2025年の純損失は420億ドル、営業損失は80億ドル。一方、売上高は約46億ドルに増え、前年の12倍となった。2025年12月31日時点の現金保有額は約203億ドルだった。
261ページに及ぶ書類のうち、48ページが事業運営、80ページがリスク要因に割かれている。リスク要因には、AIが人類の存続に関わる問題を引き起こす可能性も含まれていた。Anthropicはモデルの更新を続けており、最高経営責任者(CEO)のダリオ・アモデイ氏は、AI開発各社に対して新たな能力を展開する際の慎重な対応を呼びかけている。
書類では、Anthropicが約2兆ドルのIPO時評価額を目指していることも確認された。上場は11月の中間選挙後になる見通しで、少なくとも中間選挙前には実施されない。公開資料は、急速に伸びる売上高だけでなく、大幅な赤字と巨額の設備投資計画も示している。上場の評価では、AIインフラへの投資規模と、それを支える資金需要が重要な判断材料となる。