自動車ローンとクレジットカード事業の伸びを背景に、ウェルズ・ファーゴの2026年第3四半期は消費者向け収入が増加し、純利益も市場予想をわずかに上回った。一方、取引収益など非金利収入は弱含み、収益構成のばらつきが浮き彫りになった。同行は第4四半期の純金利収入を130億ドルと見込んでいる。
消費者向け収入は5%増、新規カード口座は66万件超
ウェルズ・ファーゴが10月13日に発表した第3四半期決算は、純利益が59億5,000万ドル、希薄化後の1株利益が1.87ドルだった。1株利益はアナリスト予想の1.85ドルを上回った。消費者向け事業の収入は107億ドルで、全社収入219億ドルのほぼ半分を占め、2025年同期比で5%増加した。
チャーリー・シャーフ会長兼最高経営責任者(CEO)は、個人・法人顧客の状況は総じて良好だと説明した。主要な当座預金口座の数は増加が続き、四半期中に新たに開設されたクレジットカード口座は66万件を超えた。自動車ローンの実行額は前年同期比15%増。デビットカードの利用額と自動車ローンの平均残高も2桁の伸びとなり、クレジットカードローン残高は5.5%増加した。
インフレが続き、金利も高水準にあるうえ、消費者心理にはばらつきがみられる。それでも銀行業界のデータでは、所得層を問わず消費の底堅さが続き、ホリデーシーズンを前に勢いが強まっている。ウェルズ・ファーゴの最高財務責任者(CFO)、マイク・サントマシモ氏は、賃金の伸びが消費を支えていると述べた。同行が主にサービスを提供する低所得層でも、賃金はおおむねインフレに追いついているという。同氏は、雇用市場が堅調であれば、消費者は物価上昇や過去のインフレによる累積的な影響に引き続き対応できるとの見方を示した。
消費者ローンの延滞は減少、雇用動向が焦点
9月30日時点で、ウェルズ・ファーゴの消費者ローンのうち、延滞して利息計上が停止された残高は29億ドルだった。1年前から8.4%減少している。シャーフ氏はアナリスト向け電話会議で、いずれ消費者信用の状況が悪化する可能性はあるものの、現時点ではその兆候を確認していないと述べた。
同日に決算を発表したJPモルガン・チェースでは、第3四半期の消費者・コミュニティーバンキング部門の純償却額が19億8,000万ドルとなり、2025年同期とほぼ同水準だった。TDコーウェンのアナリスト、スコット・シファーズ氏は、消費者の底堅さを背景に信用の質は総じて安定していると指摘。商業用不動産や預金取扱機関以外の金融機関に関する一部の問題は、現時点で広範な影響には至っていないとの見方を示した。
一方、家計の財務面での脆弱性の高まりや、インフレ、金利上昇は引き続き市場の懸念材料だ。ウェルズ・ファーゴ経営陣の足元の信用状況に対する見方は、雇用と賃金の動向が引き続き支えになることを前提としている。
4Q純金利収入は130億ドルを見込む
第3四半期の純金利収入は125億ドルで、前年同期比約5%増加した。サントマシモCFOは第4四半期に130億ドルを見込むとし、2026年の年間目標である500億ドルを達成できるとの見通しを示した。ジェフリーズのアナリスト、デビッド・キアベリーニ氏は、四半期130億ドルを年率換算すると約520億ドルとなり、同行の2027年予想を上回る水準だと試算した。
第3四半期は平均貸出残高と平均預金残高がともに前年同期比11%増え、それぞれ1兆300億ドル、1兆4,800億ドルとなった。純金利収入に加え、ウェルスマネジメントと投資銀行業務の収入も増加した。ただし、手数料関連の動きは一様ではなく、取引活動の純収益は21%減少。非金利収入全体も1.4%減の93億5,000万ドルだった。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジェラルド・キャシディ氏は四半期決算を堅調と評価した。一方、キアベリーニ氏は手数料収入の弱さを挙げ、全体として強弱まちまちとの見方を示した。ウェルズ・ファーゴ株は火曜日に3.1%安の80.74ドルで取引を終え、非金利収入の弱さが株価の重しとなった。