TRON創設者のジャスティン・サン氏はシンガポールで開かれたデジタル資産関連の会議2件で、ステーブルコイン、機関投資家の参入、AIエージェントによる決済、量子計算がブロックチェーンの安全性に及ぼす影響を議論した。AIエージェントが将来、利用者に代わってデジタルサービスを購入し、金融取引を管理する可能性があると述べたほか、TRONはNileテストネットに耐量子署名をエンドツーエンドで導入したとしている。ステーブルコインの決済需要と、暗号技術が新たな計算能力にどう対応するかが焦点となった。
DAS Asia、ステーブルコインと機関投資家の参入を議論
10月7日、サン氏はシンガポールのマリーナベイ・サンズで開かれたBlockworks主催の「Digital Asset Summit(DAS)Asia 2026」で、Blockworks共同創業者のMichael Ippolito氏と対談した。ステーブルコインの普及や機関投資家の参加、AIエージェント決済に加え、世界のデジタル資産経済におけるTRONの役割などを取り上げた。
サン氏は、トークン化資産とステーブルコインが実用的な金融インフラの一部になりつつあり、特に国際送金やデジタルドル、米国資産へのアクセスに関わると説明した。また、AIエージェントが経済活動で果たす役割にも言及。今後、エージェントが利用者に代わって支払いを行い、デジタルサービスを購入するなど、金融関連の業務を担う可能性があるとの見方を示した。
TOKEN2049でAIエージェント決済と耐量子技術を説明
10月8日には「TOKEN2049 Singapore」のメインステージで、「When Shift Happens」創設者のKevin Follonier氏と対談し、ブロックチェーンやステーブルコイン、AIエージェント、世界の金融システムの変化について議論した。
量子計算について、サン氏はブロックチェーンネットワークが技術の進展に備える必要があると述べ、TRONがNileテストネットに耐量子署名をエンドツーエンドで導入したと説明した。ただし、この機能の技術的な詳細やテスト結果、メインネットへの導入予定は明らかにしていない。
サン氏は「Justin Sun Prize」についても紹介し、「AI時代のノーベル賞」と位置付けた。同氏によると、同プロジェクトは分散型かつゼロトラストの学術懸賞の仕組みを採用し、課題リストに沿って研究を進める。基礎科学分野の成果を機械による形式検証で確認し、研究者とAIの協働を促すことを目指すという。こうした評価方法や位置付けは、サン氏が説明した内容だ。
サン氏、AIエージェントを暗号資産の用途に挙げる
サン氏は、今後5年間で暗号資産を使うAIエージェントが業界の重要なユースケースになる可能性があると語った。エージェントが自律的に取引や支払いを行い、タスクを実行するようになれば、ブロックチェーンがその決済インフラを担い得るとの見方だ。TRONは、高速で効率的かつ使いやすい決済レイヤーの提供を目指すとしている。これはサン氏の見通しであり、実際の普及規模や導入時期を定量的に示したものではない。
TRON DAOはTOKEN2049 Singaporeの冠スポンサーとして参加し、DAS Asia 2026にも出席した。会場ではブースを設け、ステーブルコイン決済、分散型アプリケーション、AI金融インフラに関する取り組みを紹介したほか、クリエイターやメディア関係者向けの交流イベントを開催した。
TRON DAO、累計取引150億件超と公表
TRON DAOによると、TRONのメインネットは2018年5月に稼働を開始した。2026年10月時点で、累計ユーザーアカウント数は4億700万超、累計取引数は150億件超、預かり資産総額(TVL)は280億ドル超としている。また、TRON上のUSDT流通量は940億ドルを超え、ステーブルコイン取引や日常決済の基盤としてネットワークを位置付けている。
これらはTRON DAOが公表したアカウント数、取引数、TVL、ステーブルコイン規模のデータだ。数字だけではユーザーの実際の活動状況や資産リスク、耐量子機能の利用実績までは判断できない。