オンチェーンアナリストのWazzは、Robinhood Chainで過去約2カ月に立ち上がったミームコイン53プロジェクトについて、同一の運用グループに関連し、少なくとも1,843万ドルが引き出されたと指摘した。オンチェーン記録からは、このうち10プロジェクトで酷似したローンチ直後の買い付けパターンが確認された。一方、1,843万ドルという総額は、独立した形で全件の照合が済んでいるわけではない。
対象の多くは、トークン発行プラットフォームのPons V2を利用していた。Wazzが9月27日に公表した分析によると、ほぼすべてのプロジェクトで、ローンチ後に70~200のウォレットからなる集団がトークン供給量の70%以上を取得した。資金の流れや、複数宛ての一括送金に使われた秘密鍵、共通の受取ウォレットを手掛かりに、45プロジェクトを関連付けたという。別の4プロジェクトは一括資金調達取引に使われた秘密鍵、さらに4プロジェクトは共通の受取ウォレットからつながった。
Wazzは、あるプロジェクトの収益が次の立ち上げ資金に回されたと説明している。関連資金が最も大きかったのはCRUMBSで約312万ドル、次いでLEGSが約290万ドル、PINKが約144万ドルだった。また、連続してトークンを発行する別の発行者2者以上にも似たパターンが見られたが、同じ運用グループかどうかは確認できていないという。
Pons V2の手数料免除とローンチ時の集中買い
Pons V2は、ボンディングカーブ方式で新しいトークンを販売する。プラットフォームの資料によれば、ローンチ直後の数秒間は「スナイパー税」として99%の手数料を課し、税率は約5秒でゼロまで下がる。ボットによる先回り購入を抑える仕組みだが、発行者はローンチと同時に買い付けるウォレット群を対象に、この手数料を免除できる。対象は最大32アドレス。
対象となった11プロジェクトのうち10はPons V2を使用しており、オンチェーン記録はWazzが挙げたプロジェクトと一致した。特に8月末以降に公開されたものを含む9プロジェクトを調べると、発行者はデプロイ時の取引で15~25のウォレットをスナイパー税の対象外にしていた。その1~3ブロック後、別の取引で同じウォレット群が一斉にトークンを購入していた。
この一括買い付けによってボンディングカーブの供給はほぼ消化され、トークンはUniswap v4の流動性プールへ移行した。ローンチ時の買い付けが終わった段階で、発行者と手数料免除を受けたウォレットの保有分は、供給量の82~86%に達した。Wazzが指摘したスナイパー買い付けの割合とおおむね一致する。
9プロジェクトのローンチ時の買い付けには、8月28日に作成された未検証コントラクトが使われていた。Wazzによると、これは複数の利用者がいる商用の一括取引ツールで、利用者の多くは今回のプロジェクト群とは無関係という。Wazzが挙げた53プロジェクトのうち25がこのツールでローンチ時の買い付けを行ったが、運営者は特定できていない。
8月12日にローンチしたEQUITYは、このコントラクトが使われる前の事例で、同様のパターンをより緩やかな形で示していた。発行者は31ウォレットのスナイパー税を免除し、そのうち21ウォレットがローンチから約1秒以内に別々の取引で購入。最終的に、発行者とこれらのウォレットが供給量の65.7%を保有した。
Wazzのリストには、CRUMBS、PINK、DEEDという同じ名称のトークンがそれぞれ3件ずつあり、各組は約1日の間に相次いでローンチしていた。アナリストは、まず話題性のある物語を掲げた偽プロジェクトで買い手を集め、その後に本物のコントラクトアドレスを公表した可能性を挙げている。ただし、この見方を裏付けるには、オンチェーン情報やプロジェクト側の資料による追加確認が必要だ。
DRAFTの資金がDEEDの買い付けに流入
Wazzは、調査のきっかけの一つとなったDEEDについて、初期トークンDRAFTの資金が後にDEEDの支援に使われたと述べた。オンチェーン取引では、9月14日午前9時36分(米東部時間)、DRAFTを保有していた98ウォレットが、3秒間で合計179.88 ETHを同一アドレスへ送金していた。そのアドレスは一度の取引で全額を「0x9d06」で始まるウォレットに移した。
9月21日午後7時9分、「0x9d06」ウォレットは別のアドレスへ50 ETHを送金した。2分後、そのアドレスから「0xf268」で始まるウォレットへ20 ETHが移動。さらに16秒後、「0xf268」は一括取引で50アドレスに合計15.98 ETHを送った。受取先にはDEEDの発行者、ローンチ時の買い付け資金を支払ったウォレット、スナイパー税を免除された残り24のウォレットが含まれていた。
DEEDはその40分後の午後7時51分にローンチした。初期買い付けの完了後、発行者と手数料免除ウォレットの保有分は供給量の86%に達した。同日、「0x9d06」は別の同名DEEDプロジェクトにも資金を供給していた。午後5時53分に別アドレスへ18 ETHを送り、1分足らずでその資金が同プロジェクトのローンチ買い付けを担うウォレットに移されていた。
DEED売却で約199.8 ETHが流出
オンチェーン記録によると、「0xf268」から資金を受け取った92ウォレットは、その後Uniswapの流動性プールでDEEDを売却し、130.75 ETHを得た。これらのウォレットはローンチから約1秒後に売却を始めていた。発行者もPonsの手数料エスクローコントラクトから、発行者手数料として69.06 ETHを引き出した。
2つを合わせると約199.8 ETHで、現在の価格に換算して約53万5,000ドルとなる。ただし、この集計が対象とするのは「0xf268」から直接資金を受け取ったウォレットに限られる。Wazzは98ウォレットを対象にし、発行者手数料を67.55 ETHとして計上したうえで、DEED関連の金額を228.92 ETHと算出。さらに、次の資金調達に回された15.98 ETHを差し引いた額は212.94 ETHとしている。集計対象や手数料の扱いによって数字に差があり、総流出額を評価する際にはこの点を踏まえる必要がある。
9月24日、「0x9d06」ウォレットはクロスチェーンブリッジRelayのコントラクトに約86.5 ETHを預け入れた。Relayはその後、イーサリアム上のウォレットへ約86.3 ETHを送金。そのウォレットは資金を約23万1,000 DAIに交換し、翌日に新しいアドレスへ移した。9月27日時点で、DAIはそのアドレスに残っていた。
Robinhood Chainではミームコイン取引が目立つ
Robinhoodは7月1日、Arbitrumの技術基盤を採用したイーサリアムのレイヤー2ネットワーク、Robinhood Chainを公開した。これまでの取引は、ミームコインと株式連動型トークンが中心となっている。9月初めには、Pons関連の手数料が押し上げ要因となり、ネットワークの1日当たり手数料収入が過去最高の約600万ドルに達した。
今回の事例では、発行プラットフォームが指定ウォレットの初期取引手数料を免除すると、ローンチ時の供給、複数ウォレットによる一括購入、その後の売却がオンチェーン上で連続して確認される場合がある。一方、発行者の実体、免除対象ウォレットの実際の管理者、一括取引ツールの運営者、資金が最終的に同一チームに支配されていたかどうかは、コントラクト権限やウォレットの帰属、追加の取引記録を照合しなければ確定できない。