ギリシャ議会は11月5日、暗号資産の税制を可決した。個人の暗号資産の譲渡益には10%を課し、年間利益が500ユーロ以下の場合は非課税とする。制度は2027年1月1日に施行される予定で、ステーキングや分散型金融(DeFi)から得る収入には15%の税率を設ける案が示されている。ただし、海外取引所での取引をどう申告・監査するかなど、実務上の詳細は今後の規則を待つ必要がある。
譲渡益は年500ユーロまで非課税、損失は5年間繰り越し
可決された枠組みでは、年間の暗号資産利益のうち500ユーロまでは非課税となり、これを超える利益が課税対象となる。所定の条件を満たす損失は5年間繰り越し、将来の利益と相殺できる。
財務省が10月に示した案では、個人の譲渡益に10%を課し、通常は売却価格から取得費用を差し引いて利益を計算する方針だった。議会が税制の大枠を可決した一方、具体的な計算方法や申告手続きは、関連規則の策定を待つ状況だ。
財務省案には、暗号資産同士の交換を直ちに課税対象としない内容も盛り込まれていた。しかし、議会では最終条文の表現に疑問が出ており、交換取引の税務上の扱いは明確になっていない。
ステーキングとDeFiの収入区分は未確定
10月の財務省案は、ステーキング、貸付、DeFiの流動性提供による報酬を利息収入として扱い、取引による利益とは分けて15%の税率を適用する内容だった。現時点では提案段階にとどまり、最終的なルールや対象範囲は今後確認される。
新制度では、過去の暗号資産利益を申告できる12カ月間の自主申告期間も設ける。指定された条件を満たせば、期限後申告に伴う罰金や利息が免除される。政府は今後数週間以内に、透明性の要件や税務監査に関する指針を公表する見通しだ。
海外取引所の利用が申告確認の課題に
ギリシャ当局にとって、国内の投資家が海外の暗号資産取引所を広く利用していることは、取引を把握するうえでの課題となる。財務省の高官は、暗号資産市場の規模を正確につかむのが難しいため、税制による税収を現時点で見積もれないと述べた。今後示される透明性要件と監査規則が、当局による申告内容の確認方法を左右する。
欧州では税率や保有期間の基準に差
ギリシャの譲渡益税率10%は、欧州では比較的低い水準にある。比較対象では、キプロスが8%、ベルギーとブルガリアが10%、クロアチアが12%。イタリアは2026年に暗号資産の標準的な譲渡益税率を33%へ引き上げ、ルーマニアは16%に引き上げる。スウェーデンでは、条件を満たす暗号資産の利益に30%の譲渡益税が課される。
一部の国では、一定期間保有した資産の利益を非課税とする制度がある。ドイツとポルトガルでは、特定の利益について保有期間が1年以上の場合に免税となる。ルクセンブルクは6カ月、クロアチアは2年、チェコは3年を基準としている。スイス、スロベニア、マルタも、条件を満たす個人投資家の暗号資産利益が譲渡益税の対象外となる可能性がある地域として挙げられている。
こうした違いから、投資家の税負担は利益額だけでなく、居住地や保有期間、取引・投資活動の分類によっても変わる。ギリシャでは税制の枠組みが可決されたものの、申告時の計算方法や暗号資産交換、ステーキング、DeFi収入の扱いは、引き続き細則の公表を待つことになる。