StrategyとStriveは先週、合計で約2,305枚のビットコインを約1億8,300万ドルで購入した。ビットコイン価格が8万5,000ドルを上回る水準に戻るなか、両社のバランスシートは価格回復の支えを受けている。ただし、上場企業全体のビットコイン買い増しペースは、2025年半ばの水準を明らかに下回っている。
Strategyの保有量は84万6,000枚に回復
Strategyは9月14日から20日にかけて950枚のビットコインを購入し、約7,570万ドルを投じた。平均購入価格は1枚当たり7万9,670ドル。9月21日に提出した規制当局向け書類によると、取引後の保有量は84万6,000枚に増え、累計購入額は約638億ドル、平均取得価格は1枚当たり7万5,416ドルとなった。
Strategyは現在、上場企業として最も多くのビットコインを保有している。同社は直近2回の週次更新では新規購入を開示しておらず、9月13日時点の保有量は84万5,050枚だった。今回の取引により、Strategyは買い増しを一時停止した後、再び購入に動いたことになる。
同じ時期に、Striveはより大きな規模で購入した。同社は9月14日から18日にかけて1,355枚を取得し、約1億770万ドルを投じた。平均価格は1枚当たり7万9,475ドルで、保有量は2万6,355枚に増加した。この期間に、Striveの現金および現金同等物は2億2,960万ドルまで増えた。
両社の平均購入価格はいずれも、直近のビットコイン市場価格を下回っている。9月21日にはビットコインが一時8万5,000ドルを突破し、1月以来の高値を付けた。8月の安値からの反発率は累計で約30%に達している。
企業の保有拡大ペースは2025年より鈍化
両社が買い増しを再開した一方、企業によるビットコイン保有市場は、前年夏の規模まで回復していない。Glassnodeが先週公表した推計によると、直近3カ月に上場企業が増やしたビットコインは合計で約5,900枚だった。これに対し、企業は2025年7月だけで約8万9,000枚を購入していた。
Glassnodeは、企業保有分の平均取得価格を約8万500ドルと推計している。同機関がデータを公表した時点では、ビットコイン価格はなおこの水準を下回っており、企業保有分全体は取得原価を下回る評価状態にあった。月曜日に価格が8万5,000ドルを上回ったことで、市場価格はこの推計コストを再び上回り、企業の保有ポジション全体の含み損益も改善した。
ただし、企業保有分の平均取得価格が、すべての企業の実際のコストを示すわけではない。StrategyとStriveでは保有規模、資金調達方法、購入時期が異なるため、価格回復が各社の財務諸表や資金調達力に与える影響も一様ではない。
Strategyは優先株買い戻しと調達コストも管理
ビットコインの上昇による会計上の影響は、特にStrategyで大きく表れる。第2四半期末のビットコイン価格は5万8,714ドルで、当時の同社の保有量も84万6,000枚だった。価格下落により、同社は6月末までにデジタル資産で約83億2,000万ドルの損失を計上し、そのうち約83億1,000万ドルは未実現損失だった。
ビットコイン価格を8万5,000ドルとして計算すると、Strategyの保有分の市場価値は約719億ドルとなる。これは累計購入額を約81億ドル上回る水準だ。また、6月30日の終値を基準にした保有価値と比べると、市場価値は220億ドル超増加する。
もっとも、この試算をStrategyが第3四半期に最終的に認識する会計上の利益と直接みなすことはできない。同社は四半期中にビットコインを追加購入または売却する可能性があり、公正価値の変動も取引や会計上の認識時点に応じて財務諸表に反映されるためだ。それでも、この比較からは、ビットコインの反発が短期間で同社のバランスシートの規模を大きく変え得ることが分かる。
一方、Strategyはすべての資金をビットコインに投じているわけではない。同社は先週、変動金利型のSTRC優先株177万株を約1億7,400万ドルで買い戻した。さらに、ドル準備から5,740万ドルを振り向け、優先株の配当と債務利息を支払った。9月20日時点のドル準備は50億4,000万ドルで、これとは別に10億5,000万ドルの指定現金を保有していた。
Strategyは過去数カ月、買い戻しや資本構成の調整を続け、STRCの価格を額面の100ドルに近づけようとしてきた。最高経営責任者(CEO)のPhong Le氏は7月、額面を下回る価格で関連証券を買い戻すことは、将来の配当負担を減らす可能性があるほか、同社が持続可能と考える優先株市場の維持にもつながると述べていた。現時点で、StrategyがSTRCの買い戻しに投じた累計額は約11億ドルに上る。
つまり、今回のビットコイン購入は資本管理策に取って代わるものではない。同社は優先株による資金調達と利払いに対応しながら、ビットコインの積み増しも再開した形だ。
StriveはSATA優先株で資金調達を継続
Striveの買い増しペースは比較的継続的だ。同社は前週に469枚を購入し、9月上旬にも1,375枚を買い増していた。最近はSATA優先株の発行を通じて資金を調達し、ビットコイン準備の拡大に充てている。
Striveによると、先週からはワラントの行使も新たな資金調達に寄与し、総額約2,120万ドルのグロス収入が発生した。同社は、この資金を含めると、SATAが累計調達額の約57.7%を占めるとしている。ビットコインの保有拡大策において、優先株による資金調達の比重が高まっていることを示す。
最新の書類では、StriveのSATA発行済み株式数は先週に78万6,194株増え、1,118万株となった。同社のA種普通株式も約207万株増加している。Striveにとっては、ビットコインの上昇ペースが関連証券の調達コストを上回る限り、この資金調達モデルを維持しやすい。ただ、同社が直近で購入したビットコインの価格は、月曜日の約8万5,000ドルの市場価格を約5,500ドル下回っており、保有分全体の取得コストはStrategyよりも現在の価格に近い。
企業の買い需要が広がるか焦点に
ビットコインが企業保有分の推計取得コストを再び上回ったことで、市場の関心は、他の上場企業が保有を再び増やすかどうかに移っている。Glassnodeのデータによれば、2025年に月数万枚のビットコインを吸収していた企業の買い需要は、最近では買い増しに積極的な少数の企業に集中している。
StrategyとStriveはいずれも、価格が回復する局面で購入を再開した。ただ、企業需要が前年の水準に戻るには、これまで様子見を続けていた企業の参加がさらに必要になる。市場が今後確認するのはビットコイン価格だけではない。各社が普通株、優先株、ワラント、または現金準備を通じて、新たな保有分の資金を継続的に確保できるかも焦点となる。