日本の巨額外貨準備が円介入の財務基盤を支える
高盛は日本政府が約1兆ドルの外貨準備を保有し、そのうち約2000億ドルが現金または現金同等物であることを強調。これにより、東京は将来的に大規模な円介入を再び実施するための十分な資金的余裕を持つと分析している。高盛の戦略担当者カレン・フィッシュマンは、7月に実施された大規模介入と同等の取引規模でも手元資金で対応可能とし、米連邦準備制度理事会(FRB)の流動性供給メカニズムを活用すれば全準備資金を流動化できると述べている。
7月の介入で日元は一時反発も半数戻す
高盛は7月初めに日本が2日連続で約850億ドルの介入を行い、福島原発事故後を除く最大規模の通貨市場介入だったと推測。この操作により日経平均200日移動平均線付近の158円台まで一時的に円高が進んだものの、その後約半分の値上がりは失われ、円相場は160円近辺に戻っている。フィッシュマンは、単発の介入は短期的な円の支えにはなるが長続きはしないと指摘。年初の独自介入後も数か月で円は40年ぶりの安値に再び落ち込んだ事例を引き合いに出した。
米日金利差と政策イベントが介入のカギを握る
高盛は、東京が再度介入に踏み切るか否かの最大の鍵は資金力ではなく、日米の政策金利差やその変動に連動した触発要因にあると指摘。現時点で市場は日銀の9月25ベーシスポイントの利上げ確率を約65%と見込み、年間利上げ幅は約40ベーシスポイントと予想されている。フィッシュマンは、もし日銀の利上げが見送られれば円安圧力が強まり、政府の介入動機になる可能性があると警告している。一方、高盛のマクロ戦略責任者プラニート・シャラは、米経済指標の弱さが米連邦準備制度理事会の利上げ期待を後退させ、ドル高圧力を緩和することで円の負担が軽減されると分析。過去の例として、2024年7月の米CPIや雇用統計が予想を下回った際に日米の協調介入が最も効果的だった事例を挙げている。
7月米CPIは予想内 背景に新たな介入懸念なし
7月の米消費者物価指数(CPI)は3.5%から3.4%に低下し、予想通りの結果となったことから市場で新たな介入懸念は広がらなかった。米国債利回りはやや低下したが、依然として日米の長期金利差は顕著で、10年物米国債利回りは約4.69%、日本の10年物国債利回りは2.84%前後で推移している。シャラは、過去5年間で約45%も円が価値を失った状況を覆すには、日銀が予想を超える利上げを通じてこの利回り差を縮小する以外にないと指摘する。
オプション市場に表れる円の先行き懸念
短期の円コールオプション需要の高さが、投資家やトレーダーの間で円変動リスクに対する警戒感を示している。円相場が160円近辺に戻りつつあるにもかかわらず、市場参加者は慎重な姿勢を崩しておらず、円相場の不確実性が依然として根強いと見られる。総じて日本の財政当局は十分な資金余力を持つが、実際の介入行動は日米の経済指標と金融政策の連動状況が決定的な要因となっている。