販売開始後4か月間売れ残った1925年築豪邸
2026年4月、フィラデルフィア郊外にある5,100平方フィートのチューダー様式の住宅が、100万ドルで市場に出されました。遺産清算案件であり学区の評価も高かったため、早期売却が期待されていました。しかし、20回以上の内覧を経ても有効な購入申し込みは得られず、多くのバイヤーの代理人からは「7寝室・5.5バスルームは大きすぎる」との指摘が相次ぎました。購入希望者が家族構成を増やす計画を持っていても、広さが負担と感じられていました。
多世代同居層への戦略変更が反響を呼ぶ
止まっていた販売は約4ヶ月後、担当エージェントのシェリル・グラント氏がこの住宅の間取りに注目。二つの独立したウィングや、二階に複数のリビングスペースとバスルームを備える点、二つの入り口や階段、4台分のガレージなど、多世代が適度なプライバシーを保ちながら同居できる特性を見出しました。価格を87万5,000ドルに引き下げ、ターゲット層を若い親世代と祖父母世代が共に暮らせる多世代家庭へ切り替えました。
戦略変更後、1日で2件の購入意向
この販売戦略の変更はすぐに効果をあらわし、わずか1日で多世代家庭から2件の購入意向が届きました。うち1件は慎重な買い手が成功を見守る形で待機しています。最終的に契約したのは、ロサンゼルスから引っ越してきた夫婦で、二人の子供とインディアナから移住した高齢の両親が同居します。全員が仕事の都合でフィラデルフィアに移るため、一軒家を探していたといいます。
不動産エージェントが語る多世代住宅の需要増加
7年以上の経験を持つグラント氏は、多世代同居やトリプレックス(三世帯住宅)、複合住宅の需要が米国で明確に増加していると指摘します。経済的な理由だけでなく、高級住宅市場においてもこうした生活様式の変化が現れていると述べました。人口の高齢化に伴い、子育てや老人ケアを住宅の中心的要素として考える家庭が増え、多世代同居が合理的な解決策となっています。住宅販売は単なる建築物の提供にとどまらず、購入者のライフスタイルや価値観を捉えることが重要だと強調しました。
この事例は、ターゲット層の絞り込みと物件の細分化が販売成功の鍵となることを示すとともに、社会構造の変化が不動産市場に与える影響をあらためて浮き彫りにしています。