Revolutのアルゼンチン銀行市場への参入計画が、アルゼンチン中央銀行の承認を得た。同社はBNPパリバの個人金融部門が保有するBanco Cetelemを買収し、新たな銀行免許を一から取得するのではなく、既存の認可銀行を基盤に現地事業を展開する。取引はまだ完了しておらず、Banco Cetelemは当面、一般向けの商品やサービスを提供しない。
Revolutはアルゼンチンで15万人超を待機リストに登録しており、商業サービスの開始時期を2027年に設定している。既存の規制対象法人を取得することで、現地での事業展開を進めやすくなる一方、顧客向けサービスを正式に始めるには、資本、運営体制、規制面で残る要件を満たす必要がある。
Banco CetelemをRevolut Bank Argentinaに改称
取引完了後、Banco Cetelemは「Revolut Bank Argentina S.A.U.」に改称される予定だ。Revolutは買収価格や、アルゼンチンの銀行事業に投入する資本規模、具体的なクロージング日については明らかにしていない。
Agustín Danza氏がRevolut Bank Argentinaの最高経営責任者(CEO)に就任する見通しだが、通常の手続きとしてアルゼンチン中央銀行による人事承認を受ける必要がある。現地取締役会の会長には、HSBCアルゼンチンおよびHSBC南米地域のCEOを務めたJuan Marotta氏が就く予定だ。
Danza氏は、銀行として認可されることがアルゼンチンでの事業開始に向けた重要な節目になると説明している。銀行の資格を持って競争に参加することで、同社の製品やサービスをより幅広く展開できるとの考えを示した。
Revolutがこれまでアルゼンチン向けに示してきた事業領域には、日常的な銀行サービス、融資、海外での決済、資産管理商品、特典プログラムなどが含まれる。ただし、正式なサービス開始時点でどの商品を提供するかは決まっておらず、具体的なラインアップは今後の規制対応と運営準備に左右される。
デジタル決済では既存サービスとの競争に
Revolutが参入するアルゼンチン市場には、すでに有力なデジタル金融サービスが存在する。モバイル決済や電子決済の利用は拡大しており、アルゼンチン中央銀行の最近のデータによると、2025年上半期の即時決済と送金は取引件数ベースで全体の60%、金額ベースで73%を占めた。同じ期間に、現金が金額ベースで占める割合は6.2%だった。
市場にはMercado Pago、Ualá、Naranja Xなどのデジタル金融プラットフォームが展開している。また、アルゼンチンでは成人のほぼ全員が、少なくとも1つの銀行口座または決済口座を保有しているとされる。Revolutにとっては、銀行サービスを利用していない層を取り込むだけでなく、すでに口座を持つ消費者に新たな銀行・決済サービスへ乗り換えてもらえるかが競争上の焦点になる。
待機リストの規模は、正式サービス開始前から一定の関心を集めていることを示すが、実際の顧客数を意味するものではない。最終的な利用者への転換は、料金設定、サービスの範囲、口座移行のしやすさ、既存プラットフォームが確保している利用頻度の中でRevolutが継続利用を獲得できるかにかかっている。
メキシコ、コロンビア、ペルーでも事業を拡大
アルゼンチンでの展開は、Revolutが進めるラテンアメリカ事業の一環だ。同社はメキシコで認可銀行を立ち上げ、コロンビアでは銀行免許を取得している。ペルーでは銀行設立に向けた初期認可を得ているものの、営業開始には追加の許可が必要となる。
アルゼンチン事業は、他のラテンアメリカ市場で進む免許取得や現地化の取り組みと並行して進められることになる。各国で銀行規制、資本要件、営業許可の条件は異なるため、今回のアルゼンチン中央銀行による買収承認は、取引と免許取得の道筋が前進したことを示すにとどまる。消費者向け銀行サービスがすでに始まったことを意味するものではない。
現時点で、取引の完了時期、投入資本、最初に提供する商品は公表されていない。待機リストに登録した利用者にとって、次の焦点は取引のクロージングと、Revolut Bank Argentina S.A.U.が残る規制・運営要件を満たした後の正式なサービス開始時期となる。