マサチューセッツ州ウェルズリーを拠点とする無糖炭酸飲料ブランドNixieの創業者兼CEO、Nicole Bernard Dawes氏は、スナック菓子のLate July Snacksに続き、2つ目の事業を立ち上げた。父と築いた会社での債務危機や事業拡大の経験は、Nixieの資金調達や小売戦略にも生かされている。
家業を通じて学んだ経営の基礎
Dawes氏の父Steve Bernard氏は、ポテトチップスメーカーCape Cod Potato Chipsを創業・経営した。Dawes氏は放課後、チップス工場や母親が営む健康食品店で過ごし、父から損益計算書の読み方も教わったという。2003年には父とLate July Snacksを共同創業した。
2014年、Snyder's-LanceがLate Julyの株式80%を取得した後も、Dawes氏はCEOを続けた。2018年にCampbell'sがSnyder's-Lanceを買収し、Late Julyも同社のブランド群に加わった。
Late Julyを立ち上げた当時、Dawes氏は第一子を妊娠しており、家族で毎晩一緒に夕食を取ることを望んでいた。夫は映画業界を離れて会社に加わり、夫婦は子どものそばにどちらかがいられるよう、長年にわたって同時期の出張を避けてきた。事業運営と家庭生活を両立させる工夫も、創業初期から経営の一部だった。
借入返済を支えたコーンチップス
Late Julyの創業から間もなく父が急逝した。景気後退期でもあった当時、銀行は父の死を理由に同社の大口融資を期限の利益喪失と扱った。Dawes氏によると、家計では日々の食料品を買うことさえ難しい時期があった。支出を削り、人脈を広げながら事業を立て直す方法を探し、返済に向けた時間を確保した。追加の株式売却などの提案は断り、最終的に使命志向の融資機関を通じて借り換えた。
Late Julyは当初クッキーを製造し、2010年にコーンチップスを発売。その後、ほかのスナックにも商品を広げた。Dawes氏は、グルテンやアレルゲンを含まないコーンチップスが、より幅広い市場への足掛かりになったと話す。
売上高が約800万ドルだった時期も、同社は融資返済に苦労していた。その後、事業は拡大し、3年以内に売上高1億ドルに達する見通しとなった。Campbell'sによるSnyder's-Lance買収の時点で、Late Julyは規模を拡大し、収益を上げる企業に成長していた。
Nixieは自己資金で立ち上げ、全米11,000店超へ
Late Julyの株式を売却した後、Dawes氏夫妻は以前から検討していた飲料市場への参入に乗り出した。スナックに合わせる商品として、米農務省(USDA)のオーガニック認証を取得した無糖飲料を構想。Nixieは2019年末に設立され、まず炭酸水を投入した。
立ち上げ資金の中心は夫妻の自己資金で、その後Short List Capitalなどの初期投資家を迎えた。2022年には少なくとも800万ドルを調達。記事で「前年」とされる年には、投資会社Invusから2,600万ドル超を調達し、Invusのマネージングディレクター、Evren Bilimer氏が取締役に就任した。現在、Nixieの商品は全米11,000店を超える小売店で販売されている。
Dawes氏は、2社目の創業では売上ゼロからのスタートだった一方、過去の経験から同じ失敗の一部を避けられたと振り返る。また、投資家選びは資金の確保だけでなく、事業の目標を共有できるかどうかも重要だと指摘。有機食品や社会的使命を掲げるブランドでは、成長の方向性について投資家と認識を合わせる必要があるという。
店頭での陳列確保と試飲を重視
マーケティングでは、小売業者向けの販促、とりわけ重要店舗での陳列確保を重視する。Dawes氏は、店舗と直接調整して売り場を確保する方法は、販促費に対して効果を得やすいとみる。試飲も商品の味を知ってもらう機会となり、店舗スタッフがブランドを伝える役割を担うこともある。
NixieはHeadCountなどの団体と連携し、祭典やイベントで有権者登録を支援するとともに、試飲を提供している。Late Julyに約27人いたチームからは、複数の管理職がNixieにも加わった。
Dawes氏はNixieを健康飲料市場の有力ブランドに育てたい考えで、事業規模が大きくなれば、変化を促す余地も広がると話す。有機農業をめぐって議会で証言した経験もあるが、現在はNixieの構築と小売事業の拡大に力を注いでいる。