Circleの7~9月期は、売上高と準備資産収入の合計が前年同期比17%増の8億6,500万ドルとなり、調整後EBITDAも3億1,700万ドルと市場予想を上回った。ただ、業績を押し上げたのはARCトークンの先行販売による1億8,200万ドルの収入だ。この分を単純に差し引くと売上高は約6億8,300万ドルとなり、前年同期の7億4,000万ドルを下回る。中核の準備資産関連事業には引き続き圧力がかかっている。
ARC先行販売がEBITDAを押し上げ
調整後EBITDAは市場コンセンサスの2億1,800万ドルを上回り、Clear Streetの事前予想である2億2,000万ドルも上回った。同社は、主な上振れ要因をARCトークンの先行販売収入と分析。実績は事前予想を9,200万ドル上回ったという。この収入を除いた調整後EBITDAは約1億3,500万ドルとなり、4~6月期の1億4,300万ドルを下回る。
売上高の内訳にも同様の差が表れている。Circleが報告した売上高と準備資産収入の合計は8億6,500万ドルだが、ARC先行販売分を単純に差し引くと約6億8,300万ドルとなる。この計算は先行販売が四半期の合計額に与えた影響を見るためのもので、会社が公表した調整後利益指標ではない。
また、トークン先行販売の総収入は、7~9月期に実際に受け取った現金と同じではない。収益認識は関連する履行義務の進捗を反映するものであり、Arcネットワークで持続的な手数料収入がすでに生まれていることを示すものではない。
Clear Streetの推計では、Circleの販売費用控除後の売上高は4億5,300万ドル、利益率は52.4%。ARCの寄与を除くと利益率は約39.7%となり、4~6月期の41.2%を下回る。先行販売収入は売上高を増やしただけでなく、当期の利益率を押し上げる要因にもなった。
USDC取引は拡大、準備資産収入は8%減
USDCの利用が広がる一方、Circleの従来型の準備資産事業では収入が減少した。7~9月期の準備資産収入は6億5,800万ドルと前年同期比8%減。USDCの平均流通量は8%増えたものの、準備資産の平均利回りが61ベーシスポイント低下して3.5%となり、増加分の一部を相殺した。準備資産の運用収益は金利動向の影響を受けるため、Circleの中核収入は依然として市場金利に左右されやすい。
ジェレミー・アレールCEOは、7~9月期のステーブルコイン取引量に占めるUSDCの割合が79%となり、1年前の66%から上昇したと説明した。オンチェーン送金額は前年同期比49%増の13兆9,000億ドル。USDCの発行と償還の合計額も過去最高の2,080億ドルに達した。
取引の拡大は準備資産収入以外の事業を広げる基盤となる。ただし、これらの数字だけで、準備資産の利回り低下が財務に与える影響が解消されたわけではない。
決済網とArcを拡大、先行販売収入は平常化へ
Circle Payments Network(CPN)は、金融機関をつないで国際送金を決済するネットワークだ。9月末時点の年率換算取引量は413億ドルと、1年前の15倍を超えた。四半期終了後には580億ドルを上回った。Circleは、現地での資金払い出し能力を広げるため、国際決済サービスを手がけるTazapayの買収も計画しており、取引完了は2027年を見込む。
Circleは機関投資家向け決済やプログラム可能な決済の基盤として、ブロックチェーン「Arc」の開発も進めている。同社によると、9月のArc公開メインネットの立ち上げには100を超える機関やアプリケーションが参加した。x402プロトコルの決済取引量では、USDCによる決済が99.6%を占めた。これらの事業はなお拡大途上にあり、Circleは決済ネットワークが2027年に相応の収入を生むと見込むものの、正式な業績予想は公表していない。
事業拡大の背景には、米国でステーブルコイン規制の実施が近づいていることもある。アレールCEOは、GENIUS法が1月に施行段階に入れば、規制に準拠したデジタルドルの普及が進むとの見方を示した。
一方、Clear Streetは、9月に計上されたARC先行販売収入の反動で、Circleの4四半期(10~12月期)のその他収入が2,800万~4,800万ドルに減少すると予想する。今後の決算では、準備資産収入の減少と先行販売収入の縮小を、決済ネットワークなどの事業がどこまで補えるかが焦点となる。