公式現金率2.75%へ引き上げ、委員会が一致で決定
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は2023年9月2日、公式現金率(OCR)を0.25%引き上げ2.75%とした。この決定は通貨政策委員会の全会一致で採択された。6月期のインフレ率は前年同期比4.1%とRBNZの目標レンジ1%~3%の上限を超えているが、今回の利上げは中東情勢による原油価格上昇が短期的に物価を押し上げた要因を考慮している。委員会はこれを一時的な価格歪みとみなし、持続的なインフレ管理に注力するとしている。
基礎的インフレ圧力は穏やか、経済回復は地域差
燃料価格を除いた6月期のコアCPI上昇率は年率2.9%と目標範囲付近にあり、根本的なインフレ圧力は過剰ではないと評価される。賃金上昇の期待や中期インフレ見通しは2027年中頃までに目標の2%台に返すことを支持している。一方、経済成長は第2四半期に一時的な弱さを示したものの、徐々に回復の兆しがある。輸出依存度の高い南島や北島一部地域は貿易先の旺盛な需要と輸出価格の改善から好調を維持。しかし、オークランドやウェリントンなど内需重視の地域では所得伸び悩みと雇用の先行き不透明感が消費と住宅投資の足かせとなっている。
委員間でのインフレリスク評価の違い
通貨政策委員会内ではインフレリスクに関する意見が分かれている。Hayley Gourley、Karen Silk、Prasanna Gai、Anna Bremanの4委員はエネルギー価格や石油化学製品価格の上昇余地を指摘し、それが価格の硬直性を強める可能性を懸念。また、輸入コスト上昇以上に企業が価格を引き上げる動きや行政費用の増大も注視している。一方、Paul ConwayとCarl Hansenの両委員はリスクの均衡を強調しながら、経済活動の鈍化や弱い不動産市場、慎重な消費姿勢が成長抑制になる点を重視している。委員会全体としては今後のインフレと経済状況を勘案し、必要に応じて更なる利上げの可能性を排除していないが、機械的な利上げは避ける意向を示した。
段階的な利上げで急激な金融引き締め回避と経済影響抑制
RBNZは段階的な金融引き締めにより、今後の急激な大幅利上げによるリスクを回避しつつ、原油価格主導のインフレ波及を抑制する方針を示した。金融条件はすでにやや厳しくなっており、卸売金利の上昇が住宅ローンや企業融資コストに影響を与え、NZドルは主要通貨に対して小幅に上昇している。銀行の定期預金利回りの上昇幅は限定的で、銀行の資金調達コスト抑制につながっている点は政策目的と異なる側面として挙げられた。
世界経済の不確実性が政策判断に影響
委員会は今後の通貨政策の方向性は未確定であり、長期的なインフレリスクを注視し続けると述べた。国内外の経済状況だけでなく、政府や民間部門の債務の持続性、地政学的緊張、財政赤字、人工知能関連の資産評価の不透明感など多様なリスクが政策環境を複雑化させている。こうした中で準備銀行は中期的にはニュージーランドの輸出部門を支えるグローバル環境が続くと見ているが、国内の構造調整は金融政策だけではなく幅広い要因に依存していると指摘した。