ウォルマートが飲食宅配市場に参入
ウォルマートはこのほど、米国の飲食チェーン大手Dunkin'との提携を公表し、店頭数10,000以上の店舗網を活かし飲食宅配サービスを拡充する計画を明らかにした。これにより、配送ネットワークを活用した宅配事業を強化し、DoorDashやUber Eatsといった既存の宅配大手と直接競合する構図が鮮明になった。ウォルマートは新興の宅配プレイヤーとして市場での存在感を高めつつある。
ウォルマートのCEO、ジョン・ファーナー氏は "革新と挑戦が当社の企業文化の中核" と語り、創業者サム・ウォルトンの "先行事例の分析と新たなリテールモデルの導入" という哲学を受け継いだ形だとしている。
これまでのリテール分野における多角化の歩み
1962年創業以来、ウォルマートは多様なリテール業態を取り込み、店舗とサプライチェーンの連携を強化してきた。1975年には家具・建材のチェーンSav-Coを試験導入し、規模拡大は叶わなかったが貴重な経験となった。また、1978年には薬局事業に参入し、現在は全米5位のドラッグストアチェーンとして年間処方薬販売額368億ドルを誇る。自動車整備サービスも1979年から展開し、約2,600店舗で対応可能な体制を築いている。
1980年代には倉庫型会員制店舗サムズクラブを拡大し、2025年には売上高930億ドル、600以上の店舗で安定的に稼働。食品スーパーとしては米国に3,500以上のスーパセンター、650以上のコミュニティマーケットを持ち、国内食料品市場の約20%のシェアを確保している。
電子商取引と広告事業の調整
21世紀に入ってからはBonobosやMoosejaw、Modclothといった専門アパレルブランドを買収したが、後に重点事業に戻し資産売却を進めた。2019年にはウォルマートコネクトを設立し、実店舗・デジタル広告の成長を狙うなど、ECと第三者プラットフォームの可能性を模索し続けている。
物流の強みを活かした宅配サービスの可能性
ウォルマートの物流体制は既に高度に整備され、一部の医薬品注文は30分以内の配送が可能だ。今回の飲食宅配事業参入では、Dunkin'のコーヒーや他飲食ブランドを含め、店舗と配送網を融合させたスピーディーなサービス提供を見込んでいる。
業界の注目と今後の動向
ウォルマートの飲食宅配市場参入は成長分野の多角化を意図する戦略の一環であり、宅配市場の競争環境に変化をもたらす可能性がある。業界関係者は提携による顧客体験の向上や、DoorDashやUber Eatsへの影響度を注視している。
今後もウォルマートの事業拡大やブランド戦略の変化、そして小売と宅配の融合モデルの推移が市場注目のポイントとなろう。