AI活用に対する社内ルールの導入で非効率な文章増加に歯止め
生成系人工知能(AI)の技術進化により、社員によるAIを使った文章作成が増加しているものの、一部企業は冗長で曖昧、重複の多い表現に対して改善を求める声が高まっている。これに対応して、社員がAIツールを適切に活用するための内部規定を設ける企業が増えている。
オランダのPolarsteps、AI利用の社内方針を発表
アムステルダムに拠点を置く旅行アプリ開発企業Polarstepsは、2024年初頭に社内でのAI活用に関するガイドラインを制定。CEOのクレア・ジョーンズ氏は、社員がAIを利用する際は使用の明示が必要で、最終的な文章は個人の思考とスタイルが反映されていなければならないと強調している。AIを使ったブレインストーミングや初稿作成は認められているが、必ず社員自身が内容を精査し、正確で明快な表現を担保する義務がある。
増加するAI生成コンテンツ、社員の読解負担が顕著化
2025年末の調査によると、米国のフルタイムオフィスワーカーの40%が少なくとも直近1か月間にAI生成された文章を同僚から受け取っており、その対応に平均して約2時間を費やしている。人材管理プラットフォーム・リープソーム(Leapsome)の副社長ジェシカ・ズワーン氏は、こうした冗長なドキュメントがチームの作業効率を著しく低下させていると指摘。社員は量を生産性と勘違いしがちだが、真の効率は簡潔かつ的確な表現の質で測られると述べている。
Clay社の社内規範、AI文章の質向上を目指す
営業・マーケティング自動化プラットフォームClayでは、未検証のAI文書が多発したことを契機に首席エンジニアのソフィー・アルパート氏が社内執筆ガイドを策定。すべての文について社員が責任を持ち、簡潔で明晰な文章の作成を義務付けている。ClayのCEO、ヴァラン・アナンド氏はLinkedInでこの方針の効果を説明、産業界で賛同と議論を呼んでいる。アルパート氏は、このガイドラインがテキストの品質を巡る社員間の対立や不安を軽減すると評価している。
管理層の前向きな対応、さらなるルール整備への期待
これらの企業はAIによる文章作成を全面的に禁止するのではなく、明確な基準設置を通じて過度なコピペや不必要な長文を抑制し、質の高いアウトプットを目指している。社員からも文章の質向上に対する期待が高く、リープソームのズワーン副社長は特に社内コミュニケーションやマーケティング文面でのAI利用制限強化を求める声が多いことを明かした。PolarstepsのジョーンズCEOは、ガイドライン施行後に個性と深い思考が感じられる文章が増加したと述べており、企業が革新と効率のバランスを模索している現状を示している。