家族の伝統とスポーツへの情熱
波特ラン・フレイムスのホームゲームでは、兄妹経営者アレックス・バーサールとリサ・バーサール・メラッチがそれぞれの「勝利の儀式」を大切にしている。アレックスはラッキーカラーの赤を纏い、リサはいつも決まった11番の席に座る習慣を持つ。これらは1960年代にインドから米国に移住し、スポーツ事業に携わった父ラジの影響を色濃く受けている。
水着製造業からスポーツ投資へ
カルフォルニア州でラジと妻マーサが設立した水着会社「Raj Manufacturing」の元で育った兄妹は、地元ロサンゼルスの多様なプロスポーツチームを追いかけて育った。ラジは1980年代後半にNFLの国際展開を支援し、世界美式フットボール連盟(WLAF)のフランチャイズオーナーの一人として活躍した経験もある。この成功体験が、後のスポーツ産業への関与につながった。
2006年に次世代として家業を継いだアレックスとリサは、水着事業から転換し2013年にRAJ Sportsを設立。少数株主としてサクラメント・キングスへの出資を果たし、プロスポーツビジネスのノウハウを蓄積した。
ポートランドで女性スポーツを牽引
2024年初め、RAJ Sportsは女子プロサッカーリーグ(NWSL)のポートランド・ソーンズを6300万ドルで買収し、同年9月には新設されたWNBAのポートランド・フレイムスを1.25億ドルで取得。初年度から平均14,500人を動員し、WNBA15チーム中4位の観客数を記録、評価額は3.8億ドルに膨らんだ。
また、耐久性と資金面で協力関係にあるナイキと連携し、1億5,000万ドル規模の「カイザー・パーマネンテ統合トレーニングセンター」を開設。近代的な施設を通じて両チームのパフォーマンス向上に寄与している。
地域産業と連携した持続的投資
ポートランドはナイキとアディダスの北米拠点がある地域であり、これがRAJ Sportsの家族経営とスポーツ産業の結びつきを強めている。フレイムスのWNBA参入前には、ZoomInfo共同創業者のカーク・ブラウンによる入札が失敗した一方で、RAJ Sportsが投資を加速。地元の熱意も後押しとなった。
直近では耐久との共催で第2回女性スポーツサミット「Epicenter Sports Week」を開催し、女性スポーツの成長や賃金、公平性に関する課題を議論。アレックスは「両チームの存在が資源と経験をもたらし、不確実な業界のなかで明確な道筋を示す」と語る。
ポートランド・フレイムスの躍進は、単なる投資成功にとどまらず、急成長する女性スポーツ市場の一端を担い、地域スポーツエコシステムの変革を象徴している。