米中間選挙の結果は、議会の主導権だけでなく、停滞している暗号資産市場構造法案「CLARITY法案」の審議にも影響する可能性がある。業界団体は今回の選挙サイクルで100を超える選挙に約1億7,600万ドルを投じており、民主党が上下両院のいずれかを掌握すれば、関連政策や利益相反をめぐる議会の審査が強まる可能性もある。
投票は火曜日に実施され、下院全435議席と上院35議席が改選対象となった。月曜日までに米国では5,700万人超が投票を済ませ、注目州の複数では期日前投票者数が2022年の同時期を上回った。
共和党は現在、上院で53議席を持ち、民主党は45議席、民主党と行動を共にする無所属議員は2人。下院でも共和党が僅差で多数を占めている。民主党が上下両院をそれぞれ掌握するには、上院で4議席、下院で3議席を純増させる必要がある。
暗号資産業界、100超の選挙に約1億7,600万ドル
2026年選挙サイクルで、暗号資産業界の団体は100を超える選挙に約1億7,600万ドルを支出した。主な資金源の一つは、Coinbase、Ripple、Andreessen Horowitzが支援するFairshakeと、関連スーパーPACのDefend American Jobs、Protect Progressだ。
Fairshakeは10月初旬、再選を目指す下院議員32人への支持を表明した。内訳は共和党19人、民主党13人で、いずれも2025年にCLARITY法案に賛成票を投じている。暗号資産業界に近い立場を取る団体には、Gemini共同創業者のTyler Winklevoss氏とCameron Winklevoss氏が支援するDigital Freedom Fundや、超党派の候補者を支援するFellowship PACもある。
Blockchain Associationの選挙追跡ページは、上院選18件、下院選43件の計61選挙を重点対象としている。競争の激しさ、候補者の暗号資産に対する姿勢、デジタル資産関連法案を監督する委員会への関与などを基準に選んだ。
オハイオ州上院選に約6,300万ドル
オハイオ州では、共和党の現職上院議員と民主党の対立候補の争いに、暗号資産業界から約6,300万ドルが集まった。Fairshakeが約5,600万ドル、Winklevoss兄弟が支援するDigital Freedom Fundが約700万ドルを投じ、共和党候補の支援や民主党候補への反対に充てた。
暗号資産推進団体Stand With Cryptoは、民主党候補を暗号資産に「強く反対」する立場と評価している。根拠として、同候補の関連発言17件や、米証券取引委員会(SEC)の暗号資産カストディ会計指針「SAB 121」の撤回を阻止する2024年の投票を挙げた。
2024年にはFairshake関連のDefend American Jobsも、共和党候補の支援に4,000万ドル超を投じた。その候補は最終的に同州の上院議席を獲得している。
ネブラスカ州、現職支援と対立候補への支出が増加
ネブラスカ州では、共和党の現職上院議員が無所属候補と争っている。Fairshakeは10月27日ごろまでに現職支援として約1,100万ドルを支出。連邦選挙委員会(FEC)のデータを基にした11月3日時点の更新情報では、関連スーパーPACのDefend American Jobsが無所属候補に反対するために支出した額は約1,350万ドルとなった。
現職議員は上院銀行委員会のメンバーで、CLARITY法案とGENIUS法案を支持している。5月にはCLARITY法案を委員会から前進させる採決に賛成し、9月には上院の手続き上の採決でも賛成票を投じたが、この採決は成立しなかった。銀行委員会の議席が、デジタル資産市場構造を定める法案の今後を左右し得ることを示す事例だ。
テキサス州とワイオミング州、候補者の主張に違い
テキサス州では共和党候補がDigital Freedom Fundの支援を受けている。両候補ともStand With CryptoからA評価を得た。共和党候補は、明確なルールが米国のデジタル資産分野の競争力維持につながるとして、CLARITY法案の成立を支持する。
民主党候補も規制の明確化を支持する一方、消費者保護を求めている。また2025年には州議会で、州レベルの戦略的ビットコイン準備金を設ける法案に賛成した。
ワイオミング州では、再選を目指さない上院議員の後任が争われる。この議員は上院銀行委員会のデジタル資産小委員会委員長を務め、2025年の「ビットコイン法案」を提出し、米国の戦略的ビットコイン準備金の設立を推進した。CLARITY法案とGENIUS法案も支持している。
共和党候補は関連する暗号資産法案を支持し、市場構造法案FIT21にも賛成票を投じた。また、米連邦準備制度理事会(FRB)による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を制限する法案を共同提出している。民主党候補については、暗号資産に関する公の立場が記録されていない。
メーン州ではCLARITY法案をめぐる対立
メーン州の共和党現職上院議員は9月、銀行預金への影響を理由に、CLARITY法案の審議を進めることに反対した共和党議員4人の一人だ。民主党の対立候補は、明確な暗号資産規制を支持し、合法的な暗号資産事業者への「デバンキング」をやめることや、米国民が自らデジタル資産を保管する権利を守ることを訴えている。
各州の結果は議会の勢力構成を変え、CLARITY法案をはじめとするデジタル資産関連法案の審議条件にも影響する。公表された業界支出と候補者の立場は、暗号資産業界が議会選挙にどう関与しているかを示している。法案の進展は、選挙後の議席配分と規制条項をめぐる議員間の意見の隔たりに左右される。