FCAの苦情対応件数と厳正処分が急増
英国の金融行動監視機構(FCA)は、2026年第2四半期において新たに333件の苦情を受け付け、前年同期比5.7%の増加を示しました。この四半期中、閉鎖された苦情案件は395件にのぼり、そのうち56件については厳正な措置が講じられ、前年同期の約7倍に達しました。厳正処分は、企業や関係者への法的措置や外部の専門家による調査、営業活動や資格の制限を含みます。なお、苦情の厳格な処理および軽微な介入を合わせた割合は43.0%とほぼ前年同期並みの水準でした。
消費者保護義務の指摘が最多、経営陣の行動問題も大きな割合
第2四半期の苦情件数に含まれる指摘項目は合計886件で、うち消費者保護義務(Consumer Duty)に関する指摘が最も多く197件を占めました。続いて、経営層や上級管理者の行動・誠実性に関する指摘が153件、システムおよび管理体制の問題が121件で、これら3項目で全指摘の53.2%を占めています。苦情1件に複数の指摘が含まれる場合もあり、指摘数が苦情数と同義ではありません。その他、個人の誠実性や評判(73件)、企業の価値観や誠実性(65件)、不正営業行為(40件)、詐欺的行為(31件)などさまざまな問題が寄せられました。
苦情の提出経路と匿名率の状況
苦情提出の過半数はオンラインフォーム(53.2%、177件)からで、残りはメール(99件)、電話(44件)、その他の方法(11件)、書面(2件)によるものでした。苦情提出者は69%が実名を選択し、匿名は31%となっています。欧州の他の一部規制当局と比べ、FCAは詳細な苦情データを公開しており、セイシェル証券取引委員会(CySEC)などは同様のデータ開示には至っていません。
厳正処分が四半期単位で大幅増加、年間総数に迫るペース
2026年第2四半期の苦情に対する厳正措置割合は14%に達し、前年同期の2.3%や同年第1四半期の9%を大幅に上回りました。軽度な介入措置は114件(29%)で、残りの49%は直接の規制措置を伴いませんが、FCAの監督活動に資する情報となっています。特に、厳正処分の56件は2026年3月末までの同会計年度累計59件にほぼ匹敵しており、苦情対応の強化が明確です。
非金融面の規制網拡大、職場環境に関する指導強化
FCAは2026年9月1日から、金融以外の不適切行為に対する規制を拡大し、非銀行系の約3.7万社の金融機関に適用を開始します。これにより、投資運用会社や保険業者、小売取引サービス提供者も対象となり、職場でのいじめや嫌がらせ、暴力行為に対する規制監督が強化されます。この新たな規制は、当該個人の将来的なコンプライアンス評価や資格保持にも影響を及ぼす見込みです。
英国CFD・FXブローカーに対する多面的規制の現況
差金決済取引(CFD)や小売外国為替(FX)ブローカーは、顧客責任、顧客分類、金融広告、事故報告など複数の監査項目で規制の複雑化に直面しています。2026年3月時点で、FCAの規制対象とされるCFDブローカーは23社にのぼり、広範なコンプライアンス対応が求められています。
苦情情報の秘匿に配慮、透明性とのバランスを維持
FCAは今回公表した四半期苦情統計において、企業名や個人名、詳細な苦情内容は開示していません。これは金融サービス市場法に基づく秘密保持規定に沿ったものであり、苦情情報は効果的な市場監督のために限定的に活用されています。市場環境が複雑化する中、FCAの苦情対応強化は業界の健全な運営維持と投資者保護、そして市場の透明性向上を支える重要な取り組みと言えます。