証券所有権記録にブロックチェーン導入を検討
米国証券取引委員会(SEC)は、約50年続く過去の代理人規則を改定し、ブロックチェーンを含む電子版所有権台帳を公式記録として認める提案を発表しました。従来の紙や電子データに代わり、ブロックチェーンが代替資産の所有権管理の「主登記簿」として活用される可能性が高まっています。
FairmintのCEO、Joris Delanoue氏は「これまでブロックチェーンは副次的な記録としてしか扱われなかったが、今回の提案で公式な持株管理の中心に据えられることは大きな変革」と指摘します。
二重台帳問題の解消に期待
現在、多くの代替証券ではチェーン上のトークン記録と、従来のチェーン外株主名簿という二つの台帳が並行運用されています。この新規則が成立すれば、ブロックチェーンが単独の正式台帳となり、資産発行者や過去の代理人の二重管理の負担が減ります。
Centrifugeのチーフリーガルオフィサー、Eli Cohen氏は「デュアル台帳体制は非効率的なだけでなく、破産などの極端な事態では権利確認が複雑化する。唯一の公式記録ならば法的整合性が明確になり、リスク管理も容易になる」と述べています。
過去代理人の役割は依然重要
提案はブロックチェーンの導入を想定しながらも、トークンの移転は従来通り、本人確認や所有権制限を満たす必要があることを強調しています。過去代理人の業務負担が減るわけではなく、むしろ行政手続きや管理機能の強化が求められています。
例えば、株主の死亡時の手続き、相続対応、法的通知の履行、郵送先住所の確認・修正などは依然として人的対応が不可欠です。SECはこうした処理の時間枠を従来の3~5営業日から1営業日に短縮する案を示し、業務効率化を図ろうとしています。
Delanoue氏は「スマートコントラクト単体では、こうした総合的なサービスは対応できない。体制の整備が不可欠だ」と述べています。一方Cohen氏は「過去代理業務の負担軽減のため、トークンプラットフォーム側が伝統的な専門業者へ業務委託する流れも出てくる」と分析しています。
パブリックコメント募集は11月初旬まで
SECは本提案に対する60日間のパブリックコメントを開始しており、11月初旬には締め切られます。伝統的な金融機関からブロックチェーン事業者まで、幅広く意見が集まる見込みです。市場参加者の反応や最終的な規則化の成否が、米国代替資産の所有管理と金融市場の連携に向けた重要な転換点となります。