量子コンピューターによる攻撃が現実になる前に、そのリスクが機関投資家のビットコイン評価に影響し始めている。Stacks創設者のMuneeb Aliは、2028年までに信頼できる耐量子化の道筋を示す必要があると警告した。一方、Rippleは米国の全国信託銀行設立について最終承認を取得。ユーロ建てのステーブルコイン取引ではUSDCのシェアが56%に上昇し、VanEckはビットコインへのエクスポージャーを組み込んだマルチアセットETFを投入した。暗号資産を巡り、技術面の安全性、規制、伝統的な金融商品が並行して変化している。
Ali氏、2028年までに耐量子化の進展を求める
Ali氏はCointelegraphのポッドキャスト「Chain Reaction」で、2028年までにビットコインの耐量子セキュリティーで実質的な進展がなければ、より深刻な安全上の課題に直面しかねないと述べた。耐量子化を完了する目標時期としては2030年を挙げ、米国国立標準技術研究所(NIST)の指針を参考にした時間軸だと説明した。人工知能の進歩によって技術開発が加速し、準備期間が短くなる可能性もあるという。
必要なのは開発者間で技術案の合意を形成することだけではない。アップグレードの方針が決まっても実装には数年かかる可能性があり、保有者もビットコインを耐量子型アドレスへ移す時間が必要になる。これまでのビットコインのアップグレードは長期化し、意見の対立を伴うことも多かったため、対応に使える時間は限られる可能性がある。
脅威がどれほど差し迫っているかについて、業界内の見方は分かれている。ただ、Ali氏は不確実性そのものが投資家の信頼を損なうおそれがあり、量子計算のリスクはすでに機関投資家にとってのビットコインの魅力に影響していると指摘した。米国の現物ビットコインETFの純資産は1,040億ドルを超えている。通貨価値の目減りに対するヘッジとしてビットコインを捉える機関投資家にとって、長期的な安全性への懸念は投資判断を難しくする要因となる。量子技術が最終的にビットコインを破ることができれば、その影響は暗号資産市場全体に及ぶ可能性もある。
Ripple、全国信託銀行の設立で最終承認
米通貨監督庁(OCC)は、Ripple National Trust Bankに最終承認を与えた。Rippleは2025年12月に条件付き承認を受けており、今回の決定で銀行設立に向けた最後の規制上のハードルを越えた。新機関は連邦政府の監督下で、RLUSDを裏付ける準備資産の管理、トークン保有者向けの担保受託、デジタル資産のカストディーを担う。
RLUSDの発行主体は引き続き、ニューヨーク州金融サービス局の監督を受けるStandard Custody & Trust Companyとなる。Rippleの最高経営責任者(CEO)、Brad Garlinghouse氏は承認を歓迎し、暗号資産業界は銀行と協力することでより良い成果を得られるとの考えを示した。
Circleは先行して7月に同様の最終承認を取得している。Coinbase、Crypto.com、Stripe傘下のBridgeは、なお条件付き承認の段階にある。全国信託銀行は通常の商業銀行とは業務範囲が異なり、一般に預金の受け入れや融資を行えず、米連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険も適用されない。
USDC、ユーロ建てステーブルコイン取引の56%に
Kaikoの新たな報告書によると、Circle発行のUSDCがTetherのUSDtを上回り、ユーロ建てステーブルコイン取引で主要な通貨となった。USDCの取引シェアは現在56%で、2024年1月の10%から大きく伸びた。EUの暗号資産市場規則(MiCA)施行後に変化が加速し、規制対応のため一部の大手取引所が欧州経済領域(EEA)の顧客によるUSDt取引を制限した。
流動性にも差が表れている。USDCのユーロ建て取引の注文板の厚さは、現在USDtを約40%上回る。一方、世界全体ではUSDtが依然として最大のステーブルコインで、流通供給量はUSDCの約2.5倍に達する。
欧州銀行監督機構(EBA)はUSDCをEU初の「重要な電子マネートークン」に指定しており、追加の規制が適用される。Kaikoは、米国のGENIUS法が同様の取引構成の変化をもたらすかどうかは、取引所が新たな要件をどう実施するかに左右されると指摘した。
VanEckの新ETF、ビットコイン配分目標は2%
運用資産が2,440億ドルに上るVanEckは、アクティブ運用型ETF「VanEck Wealth Builder ETF」(NYSE:WBMO)を立ち上げた。火曜日に発表された同ファンドは、VanEckや第三者が運用するETFを通じて、伝統的な株式・債券に実物資産と少額のビットコイン・エクスポージャーを組み合わせる。VanEckの既存のWealth Builderモデルポートフォリオを、単一のETFにまとめた商品だ。
ビットコインの配分目標は2%で、実際の比率は1~5%の範囲で調整できる。WBMOはビットコインを直接保有せず、現物ビットコインの取引所取引商品(ETP)を通じて価格変動へのエクスポージャーを得る。
VanEckでマルチアセットソリューションを統括するDavid Schassler氏は、従来の株式60%・債券40%のポートフォリオは、異なる投資環境を前提に設計されたと述べた。より幅広い経済環境に対応するため実物資産を加え、ビットコインも少額ながら配分対象に含める考えを示した。WBMOでは、ビットコインを直接保有するのではなく、取引所取引商品を介してエクスポージャーを持つ構造となる。