Coinbaseの2026年7~9月期は、暗号資産への投資評価益に支えられ、純利益が7億1,900万ドルとなった。3四半期続いた赤字から黒字に転じた一方、売上高は前年同期比35%減、現物取引高も前四半期比で減少した。予測市場やサブスクリプション収入が伸びるなか、USDC報酬の支出増加と暗号資産価格の変動が、業績を左右する要因となっている。
売上高は前年同期比35%減、調整後EBITDAは前四半期比60%増
Coinbaseが10月29日に発表した2026年7~9月期決算では、売上高は12億1,600万ドルと前四半期並みだったが、前年同期比では35%減少した。暗号資産の現物取引高は前四半期比8%減の1,345億ドル。取引収入は前年同期比44%減の5億9,000万ドルとなった。
最高財務責任者(CFO)のAlesia Haas氏によると、調整後EBITDAは3億3,300万ドルで、前四半期比60%増。15四半期連続で黒字を確保した。一方、調整後純利益は7,800万ドルにとどまり、報告純利益の7億1,900万ドルを大きく下回った。暗号資産の投資評価益が、当期利益を大幅に押し上げたことがうかがえる。
予測市場の年換算収入は2億ドル超
予測市場は、Coinbaseの取引事業に新たな収益源をもたらしている。同社によれば、同事業の年換算純収入は7~9月期に2億ドルを超え、サービス開始後の四半期複利成長率は82%となった。日次取引者数も前四半期比で60%超増加した。Brian Armstrong CEOは、同事業をCoinbase史上でも特に成長の速い製品の一つと位置づけている。
予測市場とデリバティブを合わせると、取引収入の約4分の1を占める。イベント契約を取引する顧客による暗号資産の現物取引も増えた。世界の暗号資産取引に占めるCoinbaseのシェアは、1年前の5.6%から10.7%に上昇し、現物とデリバティブの双方で拡大した。
サブスクリプションおよびサービス収入は前四半期比3%増の5億7,000万ドルで、純収入の49%を占めた。Haas氏は、予測市場収入は暗号資産市場の値動きとの相関が比較的低く、従来型の暗号資産取引への依存を抑える効果があると説明した。Coinbaseはイベントの種類や製品との連携を増やすほか、USDCによる独自の決済基盤を開発する方針だ。
Haas氏によると、同社は自社の指定清算機関(DCO)について米商品先物取引委員会(CFTC)の承認を得た。今後、自社契約の提供を可能にし、取引のより多くの段階で収益を得ることを目指す。
USDC残高は過去最高、報酬支出も増加
Coinbaseのサービス内にあるUSDCの平均残高は、前年同期比49%増の過去最高となる220億ドルに達した。USDCの平均流通量の約30%に相当する。ただし、残高の拡大に対し、ステーブルコイン収入は伸びていない。7~9月期の収入は3億690万ドルで、再分類後の前年同期(3億2,450万ドル)から5.4%減少した。
同期間のUSDC報酬支出は15.8%増え、1億1,160万ドルから1億2,920万ドルとなった。開示されたステーブルコイン収入から報酬支出を差し引くと、差額は約1億7,770万ドル。前年同期の2億1,300万ドルを約3,530万ドル、率にして16.6%下回る。ただし、この差額はステーブルコイン事業の利益を示すものではなく、その他の収入や費用も含んでいない。
会社資料では、USDC平均残高の増加が収入を8,460万ドル押し上げた一方、金利低下が5,280万ドルの下押し要因となった。USDC準備資産から得られる利息は、CoinbaseとCircleに関連する収入の重要な部分を占めるため、金利の低下は両社に配分される収入を圧迫する。Haas氏は、両社がUSDCの時価総額と利用範囲の拡大を目指すとともに、それぞれ異なるパートナーと連携し、エコシステムへの参加企業を増やす可能性にも言及した。
暗号資産の投資益が純利益を押し上げ
Coinbaseはビットコインとイーサリアムへの投資を増やした。9月末の投資目的のビットコイン保有量は17,954枚で、6月末から643枚増加。イーサリアムは2,370枚増の152,649枚だった。その他のデジタル資産を含む投資ポートフォリオの公正価値は、前四半期の14億7,000万ドルから約22億2,000万ドルへ、51.5%増加した。
同社は当期、暗号資産投資から約7億1,500万ドルの利益を計上した。純利益の7億1,900万ドルに近い規模で、これらの投資益や一部の項目を除いた調整後純利益は7,800万ドルだった。Coinbaseの試算では、暗号資産価格が仮に50%上昇または下落した場合、投資ポートフォリオの公正価値は約11億ドル変動し、その損益が業績に反映される。予測市場、サブスクリプション、ステーブルコイン事業の比重が高まっても、四半期利益は暗号資産価格の変動に大きく左右される状況が続いている。