Circle傘下のブロックチェーン「Arc」は公開メインネットの稼働初日、分散型取引所(DEX)で4億1080万ドルの取引高を記録した。このうち約82%はミームコイン発行プラットフォームによるもので、9月16日には776万件の取引を処理した。機関投資家向け金融アプリケーションが立ち上がり段階にあるなか、稼働初日のネットワーク利用は投機性の高いトークン取引が中心となった。
Arcの初日DEX取引高は4億1080万ドル
Arcは、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の発行元でもあるCircleが開発したオープンなレイヤー1ブロックチェーンだ。Circleはこれまで、金融市場やリアルタイムの資金移動、「エージェント経済」の活動を支えるインフラとしてArcを位置付け、インターネットの「経済オペレーティングシステム」を目指すとしてきた。
初期のバリデーターには、ブラックロック(BlackRock)、Visa、マスターカード(Mastercard)、米国証券保管振替機関(DTCC)、インターコンチネンタル取引所(ICE)が名を連ねる。公開メインネットの開始前から、100社を超える機関投資家やエコシステム構築企業がArcのプライベートメインネット上で展開またはテストを進めていた。
資産運用会社では、Bitwise、ブラックロック、Janus Hendersonがトークン化ファンドをArcへ移行している。決済分野ではVisaとMoneyGramが、Arcを利用したステーブルコイン決済を計画している。取引プラットフォームでは、現物、パーペチュアル、クロスチェーン市場を展開するUniswap、Robinhood、Pump.funも参加している。
Circleの共同創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)のJeremy Allaire氏は、Arcについて、重要な金融機関の参加によって支えられ、人と機械の双方が取引できる環境に対応する、オープンで中立的かつ継続稼働するインターネット経済の基盤を目指すものだと説明している。
一方、初日の実際の取引構成は、Arcが掲げる機関金融向けの位置付けとは異なるものとなった。ブロックチェーン分析を行うAdam氏が整理したデータでは、ネットワーク稼働初日の取引活動の大半をミームコイン発行プラットフォームが占めた。
Arguspadだけで2億235万ドルを処理
Duneのデータによると、ミームコイン発行プラットフォームの取引高はArc初日に3億3626万ドルとなり、ネットワーク全体のDEX取引高の約82%に達した。なかでもArguspadは単独で2億235万ドルを処理し、初日の全取引高のほぼ半分を占めた。
続いてMinara.funが3641万ドル、Tollylabsが1965万ドルを記録した。新規トークンの発行もArguspadに集中した。同プラットフォームは24時間で8万3751種類のトークンをミントし、Arc上で同日に作成されたトークン総数9万7025種類の86%超を占めた。
Arcはトークン発行以外も含め、9月16日に合計776万件の取引を処理した。取引件数の多さには、ミームコインの短時間での作成、売買、流動性の移動が影響したとみられる。ただし、これらの活動が継続的なネットワーク利用へどの程度つながるかは、今後のデータを確認する必要がある。
Robinhood Chainとの初日比較
Arcの稼働前から、一部のトレーダーは同チェーンをRobinhood Chainと比較していた。Robinhood Chainは7月1日の公開開始初日に1474万ドルの取引高を記録しており、この基準で見るとArcの初日取引高は約28倍に相当する。
ただし、公開初日の取引高だけで安定した需要の形成を判断することはできない。Robinhood Chainでは8月に取引活動がいったん鈍化した後、9月に1日37億ドルの取引高を記録した。新しいパブリックチェーンでは、稼働直後の熱気が落ち着いた後に利用強度が変化する可能性がある。
Arcにとって今後数週間の焦点は、取引の構成が変わるかどうかだ。ブラックロック、Visa、MoneyGramなどの機関・決済関連企業による展開が継続的な決済需要を生むのか、あるいはArguspadなどが促すミームコインの発行と売買が引き続きネットワークの主要なトラフィックとなるのかが問われる。現時点で確認できるのは、Arc初日のネットワーク活動が主にミームコイン市場によって押し上げられ、機関金融やステーブルコイン決済の利用はなお初期段階にあるという点だ。