8月米CPI発表で利上げ確率が急上昇
米国の8月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%増と7月の0.1%から加速し、前年比では3.4%の横ばいにとどまりました。食品やエネルギーを除くコアCPIは前月比0.3%、前年比2.4%上昇。特にガソリン価格が月間で3.9%上昇し、総合の上昇分の3分の1を占めました。この堅調なインフレ指標は、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月会合で0.25%の利上げを実施する可能性を約90%と連邦基金先物市場に織り込ませています。市場関係者の間では、利上げを見送れば市場心理に悪影響を及ぼすとの見方が根強いです。
消費者感情の悪化とインフレ期待の高まり
ミシガン大学が発表した9月の速報消費者信頼感指数は47.8となり、前月の51.7および市場予想の51.0を下回りました。同時に、今後1年間のインフレ期待は4.0%から4.6%へと上昇し、5年予想も3.4%に高まりました。燃料価格の高止まりや貿易摩擦の影響が消費者の支出意欲に影響を及ぼしているとみられます。こうしたインフレ期待の上昇は賃金や物価設定に波及しやすく、労働市場の逼迫感と相まってFRBの金融政策の難しさを示唆します。
米国債利回りは上昇基調、イールドカーブは平坦に
特に短期債が敏感に反応し、2年物米国債利回りは7.8ベーシスポイント上昇し4.6275%に達しました。5年物と10年物もそれぞれ4.7840%、4.9710%まで上昇。一方で30年物はわずかに0.3ベーシスポイント低下し5.3576%となりました。2年物利回りは週間で25.1ベーシスポイント上昇しており、市場は今後の利上げペースを織り込んでいるとみられます。これによりイールドカーブは平坦化し、経済成長やインフレ見通しに対して慎重な姿勢が浮き彫りとなっています。
米株は4日ぶり反発、原油価格の変動がインフレ懸念を緩和
金曜日の米株式市場は主要指数が一斉に上昇しました。ダウ工業株30種は0.98%上げて52,573.29ポイント、S&P500は0.86%高の7,656.98ポイント、ナスダック総合も0.96%上昇し26,333.04ポイントとなりました。テクノロジー株の好調に加え、原油価格の調整がインフレ圧力をある程度和らげた形です。しかし週間ベースではいずれも下落しており、ダウは1.57%、S&P500は0.8%、ナスダックは0.66%のマイナスで終了しています。
米ドル主要通貨に対して動きが分かれ、円が強含み
ドルは金曜日に対円で0.48%下落し、主要通貨の中で最も弱い動きとなりました。一方で英ポンド、ニュージーランドドル、オーストラリアドルは小幅上昇。欧州通貨やカナダドル、スイスフランはドルに対し軟化し、特にスイスフランは0.5%下落しました。週全体では円は1.7%上昇し、日銀の金融政策動向に対する市場の注目を高めています。
中東の地政学リスクが上昇、原油価格は高いボラティリティ
中東地域では緊張が続き、サウジアラビアの東西パイプラインがミサイル攻撃を受け、フーシ派勢力が紅海周辺で勢力拡大を続けています。国際エネルギー機関(IEA)によると、8月のサウジ原油生産量は約600万バレル/日と30年ぶりの低水準です。WTI原油は金曜に2.37%急落し100.05ドルまで下落したものの、週間では9.35%の上昇となっています。こうした価格の変動は市場がリスク要因をある程度織り込みつつ、不確実性が続いていることを示しています。貴金属は金が0.66%上昇の1トロイオンス=1,949.44ドルで推移しましたが週間では1.81%の下落となっています。銀や銅も価格の調整が続いています。
主要3中央銀行の政策決定に注目集まる
今週は米連邦準備制度、イングランド銀行、日本銀行の政策会合が相次いで開催されます。米連邦準備制度は水曜に0.25%の利上げを予想されており、同時に経済見通しとドットチャート(政策金利予測)を公表、パウエル議長が記者会見を行います。イングランド銀行は木曜に政策金利3.75%を維持する見通しですが、インフレ動向で今後の政策が左右される可能性があります。日本銀行は金融緩和政策の持続か利上げが注目されており、特に政策金利を1.25%に引き上げるかどうかに市場の関心が集まっています。加えて、カナダや英国の最近のインフレおよび雇用統計も警戒されています。
このように、経済指標の動向、地政学的リスク、そして各国中央銀行の政策決定が複雑に絡み合い、市場参加者は今後の発表内容に神経をとがらせながら慎重に対応を迫られています。