クラウド通信ソフトウエアを手がけるTwilioは、7〜9月期の売上高と調整後1株利益(EPS)がともに市場予想を上回った。一方、10〜12月期の業績見通しに加え、既存事業の自然成長が鈍化する兆しも意識され、株価は木曜日の取引終了後に一時12%超下落し、210.98ドルを付けた。
7〜9月期、売上高20%増・調整後EPS32%増
9月までの四半期の調整後EPSは1.65ドルで、前年同期比32%増。売上高は20%増の15億6,000万ドルだった。アナリスト予想の平均は、調整後EPSが1.47ドル、売上高が15億1,500万ドルで、いずれも実績を下回った。
ただ、好決算だけでは成長の質や先行きへの懸念を払拭できなかった。Twilioの売上高は、利用量に応じて課金するサービスが中心で、全体の約4分の3を占める。サブスクリプション収入も伸びており、投資家は中核事業のオーガニック成長がこれまでのペースを維持できるかを注視している。
10〜12月期の見通しは予想超え、株価は下落
Twilioは、12月までの四半期の売上高を中央値で16億ドルと予想した。買収による寄与を含む数字で、アナリスト予想の15億8,300万ドルを上回る。調整後EPSの会社予想は1.48〜1.53ドルで、市場予想は1.49ドルだった。
見通しは市場予想をわずかに上回ったものの、時間外取引では株価が大きく下げた。決算発表前までに株価は2026年に入って約70%上昇し、10月6日には308.40ドルの高値を付けていた。今回の下落には、成長鈍化の兆しに加え、会社予想からうかがえる今後の事業の勢いを市場が見極めようとする動きが表れている。
Voice AIを投入、企業向け事業の転換を進める
Twilioの新たなAI製品「Twilio Voice AI」は、市場で徐々に関心を集めているとアナリストはみている。企業が、顧客の発話を理解して自然に応答する電話音声ボットを構築できる製品で、通話対応における有人オペレーターへの依存を抑える狙いがある。
2008年創業のTwilioは、開発者がAPIを通じて音声、SMS、動画機能をアプリに組み込めるクラウド通信プラットフォームを提供する。Khozema Shipchandler最高経営責任者(CEO)は2024年1月に就任。コスト削減や営業利益率の引き上げに取り組むとともに、従来の技術資産を企業向けAIの用途に合わせて再構築する方針を進めている。
利益率改善と成長の持続性が焦点
Twilioは引き続き、利用量に連動する売上への依存度が高い。サブスクリプション事業の拡大も、収益構成を見極めるうえで注目される。今回の決算では売上高と利益が予想を超えたが、株価が発表前に大きく上昇していたこともあり、今後の成長に対する懸念は残った。
決算発表前時点の関連テクニカル評価では、Twilioの総合評価は99点満点中95、累積/分配評価はDだった。総合評価は複数の株式指標を組み合わせたもの。累積/分配評価は直近13週間の株価と出来高の推移をもとに、資金の流入・流出を判定する。いずれも会社の業績見通しとは異なる指標であり、市場はそれぞれを分けて見ている。