金利上昇が続くなか、フレディマック(Freddie Mac)は第3四半期に単戸建て住宅ローンを980億ドル取得し、880億ドルだったファニーメイ(Fannie Mae)を上回った。政府系住宅金融機関(GSE)2社のローン取得競争は、貸し手の審査方針にも影響し得る。一方、延滞指標や信用損失引当金の動きからは、融資対象を広げるうえでリスク管理が引き続き重視されていることがうかがえる。
フレディマックの最高財務責任者(CFO)、ジム・ホイットリンガー(Jim Whitlinger)は決算説明会で、同社は財務基盤を強化し、慎重な判断とリスク管理を軸に事業を運営していると述べた。財務力を高めることで、景気循環を通じた流動性の供給や持続可能な住宅所有の支援、住宅ローンの効率性と利用しやすさの向上につなげる考えを示した。
住宅ローン取得額で首位、既存ローンの指標には差
ホイットリンガーによると、フレディマックの保有ローンの加重平均現在LTV(ローン残高に対する住宅価値の比率)は54%で、信用スコアは755だった。ファニーメイの信用スコアは753、住宅価格の変動を反映した時価調整後LTVは51%。
現在LTVや時価調整後LTVには、住宅価格の変動や借り手の返済状況が反映されるため、融資実行時点の当初LTVとは単純に比較できない。ファニーメイが以前公表したデータでは、当初LTVの加重平均は通常これより高く、長期平均は約78%だった。
これらは保有ローン全体の指標であり、第3四半期に新たに取得したローンの審査基準を直接示すものではない。ホイットリンガーは、深刻な延滞率が前年同期から上昇した主因として、2022~2024年に組成されたローンの動向を挙げた。両社では単戸建て向けと集合住宅向けのローンの一部で延滞指標が上昇しており、融資獲得を競うなかでも信用リスクが重要な判断材料になっている。
BTIGのアナリストは、フレディマックの第3四半期の信用損失関連項目が予想以上に変動したと指摘した。前期までの9億ドルの信用損失戻入れから、8億ドルの引当金計上に転じた。ファニーメイも同じ時期に、信用損失の戻入れから引当金計上へ移行した。両社の単戸建て住宅ローンの深刻な延滞率はなお1%未満で、歴史的な低水準にあるものの、指標の変化は審査基準を緩和する余地を狭める可能性がある。
一部の新規取得ローンでVantageScore 4.0を採用
両社は貸し手に対し、ローンの価格設定に新しい信用スコア「VantageScore 4.0」を使う選択肢を提供している。一部の住宅ローン会社は、この指標によって融資承認を得られる借り手がいると説明している。ホイットリンガーによると、第3四半期にフレディマックが取得したローンのうち、約6%で同スコアが使われた。
この仕組みは貸し手に借り手を評価する別の手段を提供するが、信用基準全体が緩和されたことを意味するわけではない。両社は借り手の対象範囲を広げることと、ローンポートフォリオのリスクを抑えることの両立を求められている。足元の延滞指標や引当金の変化は、その判断を左右する要素となる。
利益は増加、資本不足と優先株の扱いが課題
フレディマックの第3四半期純利益は前年同期比約17%増の32億ドルだった。ファニーメイも前日に発表した同四半期の純利益が8%増の42億ドルとなり、2023年以来の高水準を記録した。フレディマックは四半期利益の増加を受け、純資産が810億ドルに達した。両社は2008年の管理下入り以降、長期にわたって利益を計上しているが、収益の伸びだけでは資本要件をめぐる課題は解消していない。
ホイットリンガーは、2026年第3四半期末時点で、バッファー要件を差し引く前のフレディマックの資本不足額は980億ドルだと説明した。主因は、規制上の資本として認められない優先株(シニア・プリファード)730億ドル。Keefe, Bruyette & Woodsのアナリストは、この優先株を調整しても、フレディマックの資本は法定最低水準を約210億ドル下回ると指摘した。
また、同社の資本は政府保有の優先株とその清算優先権に対して劣後する。将来、管理下からの退出を目指す場合には、これらの優先権の放棄や転換など、取り扱いを整理する必要があるという。
木曜日の執筆時点で、フレディマック株は12%強上昇して4.09ドル、ファニーメイ株は約8%上昇して4.48ドルだった。市場ではローン取得額や利益の伸びに加え、延滞の動向、資本不足、管理下からの退出に必要となる資本上の措置が注目されている。