中国最大のDRAMメーカー、長鑫存储(CXMT)の2025年7〜9月期売上高は前年同期比613%増の約1,187億元(約180億ドル)となった。世界的なメモリー不足で販売数量と価格がともに上昇したためだ。高い利益率はDRAM需給の逼迫を映す一方、同社の増産が進めば、将来の供給圧力につながる可能性もある。売上規模やデータセンター事業では、米マイクロン・テクノロジーとの差がなお大きい。
DRAM不足でCXMTの利益率も上昇
CXMTが10月30日に発表した業績によると、7〜9月期は世界的なDRAM不足を背景に、出荷数量と販売価格がそろって上昇した。売上高は前年同期の7倍超に膨らんだ。
粗利益率は89.5%と、4〜6月期から約2ポイント上昇。株主に帰属する純利益は約544億元となり、前年同期の赤字から黒字に転じた。一方、売上高の前四半期比伸び率は約19%。4〜6月期に前四半期比でほぼ倍増したのに比べ、成長ペースは鈍化した。
同じ供給逼迫はマイクロンの業績も押し上げている。9月3日終了の2026会計年度第4四半期の粗利益率は86.8%で、2025会計年度同期の44.7%から大きく上昇した。両社の高い利益率は、DRAM価格が現在の需給環境に支えられていることを示す。ただし、利益率の高さだけで、逼迫が長続きすると判断することはできない。
シェアは拡大も、売上高はマイクロンの約3分の1
急成長を遂げたCXMTだが、四半期売上高はなおマイクロンの約3分の1にとどまる。マイクロンの2026会計年度第4四半期売上高は542億ドルで、次の四半期は約615億ドルを見込んでいる。
TrendForceの推計では、CXMTの世界DRAM売上高シェアは4〜6月期の7.6%から9.5%に上昇した。同じ期間のマイクロンは23.3%だった。CXMTの存在感は高まっているものの、シェアには依然として開きがある。
事業の重点分野にも違いがある。CXMTは従来、主にコンシューマー向け電子機器市場に製品を供給してきた。新しい高密度チップ設計を採用したサーバー向けメモリーモジュールは、2026年末までの投入を計画している。
一方、マイクロンの成長をけん引するのはデータセンター事業だ。2026会計年度第4四半期のクラウドメモリーとコア・データセンター事業の売上高は合計343億ドルで、全体の約63%を占めた。前年同期の約54%から比率が上昇し、コア・データセンター事業の売上高は第3四半期比56%増となった。
スマートフォンやパソコン向けメモリーを含むマイクロンのモバイル・クライアント事業は、同四半期に131億ドルを売り上げ、第3四半期から14%増加した。CXMTの現在のコンシューマー向け事業に近い分野であり、スマートフォンやPC用メモリーは両社の競争が直接重なりやすい市場となる。
約2,850億元の現金が増産を支える
今後の供給を見極めるうえでは、足元の販売だけでなく、新たな生産能力がいつ市場に出てくるかも焦点となる。CXMTは、自社の生産能力増強が業績拡大を支えたとしている。第3四半期に新株公開を終えた同社は、9月末時点で約2,850億元(約430億ドル)の現金を保有しており、追加投資の資金基盤となる。
マイクロンは2026会計年度末時点で、現金および市場性のある投資を約735億ドル保有していた。同社は直近の年次報告書で、中国政府や関連企業による大規模な投資が競争を激化させ、DRAMやNANDの供給過剰を招く可能性を警告している。
メモリー市場では、新規供給の拡大が好況局面を変える要因になりうる。CXMTにとって増産力は成長を支える一方、需給が転換する局面では市場全体の供給を左右する変数にもなる。
マイクロン株の評価には利益後退への警戒も
原文で示された10月30日の終値時点で、マイクロン株は884.74ドルと前日比5.30%下落した。6月下旬につけた終値ベースの最高値からは約26%下げている。2026会計年度の1株当たり利益は74.33ドルで、当時の株価を基にした株価収益率(PER)は約12倍だった。
同社は次の四半期も売上高の増加を見込む一方、株価評価には利益が今後減少する可能性への警戒も表れている。CXMTはスマートフォンやPC向けメモリーでシェアをさらに伸ばす余地があるが、マイクロンの粗利益率も現在の約87%を長期にわたって維持できるとは限らない。CXMTの好業績は供給不足が価格と利益を押し上げている現状を示すとともに、同社の現金余力と増産計画を通じて、今後の供給増加が市場の注目点となっている。