AI産業の拡大を背景に、学習用データと高性能コンピューティング機器への需要が高まっている。Grayscaleのリサーチ責任者Zach Pandl氏は10月23日付の調査報告で、DATA Network(DATA)、USD.AI(CHIP)、Pearl(PEARL)をAIインフラの異なる領域に取り組むプロジェクトとして挙げた。ただ、直近の価格推移は3銘柄で分かれており、プロジェクトの事業基盤と市場評価にはなお差がある。
DATA Network、AI学習データの利用許諾に焦点
AIモデルの学習には、大量の画像や動画、音声データが必要になる。DATA Networkは、許諾を得たうえでこうしたデータを収集し、AI開発者に利用許諾を与える仕組みを目指している。データの提供者には報酬を支払い、データ収集、ライセンス、トークンによるインセンティブを結び付ける構想だ。
10月12日、Sui Foundationは同ネットワークへの3,000万ドルの投資を発表した。DATAはSuiブロックチェーンへの移行も計画しており、既存トークンは1対1の比率で移行される予定だ。この支援により資金と新たなオンチェーン基盤を得ることになるが、トークン価格は現時点で明確な改善を示していない。
記事発表時点でDATAは0.15243ドル。90日間では42.07%下落し、過去1カ月の下落率は34.65%となっている。市場では、投資資金やチェーン移行が実際のデータ事業と結び付き、継続的な価値の裏付けとなるかが見極められている。
USD.AI、GPU調達をブロックチェーン融資で支援
AIの学習や推論には大量のGPUが必要だ。GPUは高価で更新サイクルも速いため、コンピューティングサービス事業者は大規模な資金調達を迫られる場合がある。USD.AIは、関連ハードウエアと将来の収入を基盤に、コンピューティング企業がブロックチェーン上の融資プールから資金を調達できる仕組みを掲げている。
8月にはBullishが1億ドル規模の融資枠を設け、USD.AIのGPU融資を支援すると発表した。この枠組みは、デジタル資産を活用した資金調達手段とAI計算設備の資本需要を結び付けるもので、CHIPの市場動向にも注目が集まった。
CHIPは0.04386ドルで、90日間では47.98%上昇している。ただし、4月の高値からはなお約69%低い水準にある。直近の上昇だけでは、それまでの下落を完全に取り戻しておらず、GPUを担保とする融資の規模や資産の質、プロジェクトの収益力に対する市場の評価が、今後も価格変動に影響する可能性がある。
Pearl、計算能力からの収入をトークンと接続
Grayscaleが3番目に挙げたのはPearl(PEARL)だ。学習用データに重点を置くDATA、GPU融資を中心とするUSD.AIに対し、Pearlは計算能力を収益化する領域に位置付けられている。AIによる計算需要の拡大を、オンチェーン上の経済活動につなげることを目指す。
現時点で公表されている情報では、3つのトークンはそれぞれデータ供給、ハードウエア融資、計算収入という異なる工程に対応している。いずれもAIインフラと関係するものの、事業モデルは同一ではなく、価格推移もすでに分化している。市場参加者が進捗を判断するうえでは、AI需要を実際に検証可能なデータ利用許諾、融資事業、または計算収入へ転換できるかが焦点となる。AIというテーマだけでは、3銘柄の値動きの違いを説明しきれない。